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採用コラム

採用するべきは「うちっぽい人」?「うちっぽくない人」?

増渕知行

採用活動でよく耳にする「うちっぽくないんだよな」

前回お話ししたのは、「うちっぽさ」は会社によってそれぞれ大きく異なると言うこと。また自分の会社の「うちっぽさ」を理解するには、会社の歴史を紐解くことと、会社の組織風土を分析することが重要だということです。

今回は、経営陣や上司に突如言われた「うちの会社もたまには『変わっている人材(うちっぽくない人材)』採らない?」について。
本当に今その人材採用が必要かどうかを考えていきたいと思います。

1. 「うちっぽくない人材」の採用は難しい

急に経営陣に呼び出されて言われたのは、
「最近同じような社員ばかり入ってきて、なんだか代わり映えしないな。そろそろ我が社も、うちっぽくない人材を採りたい

採用担当者なら頭を抱えたくなるこんな言葉。

「うちっぽくない人材をそろそろ採りたい」と言われたけど、実は過去に何度かチャレンジして失敗したことはありませんか?

採用の基準が定まってない、もしくはその基準が面接官にしっかりと伝わっていなかった結果、人事部としては採りたかった候補者が最終面接で不採用になったこと。
内定を出し、頑張って口説いて入社してもらったうちっぽくないエッジの効いた社員 が1年も経たずに退職してしまったこと。

同じような価値観や思考を持っている候補者の面接方法や社員定着は、会社内でノウハウがあるけれども、今までにいなかったタイプの採用・定着はノウハウもなくて多くのチャレンジを必要とする ものです。

そもそもうちっぽい人材とうちっぽくない人材を採る効果とリスクにはどのような違いがあるのでしょうか。

2. それぞれを採用する効果とリスク

うちっぽい人材とは、会社の文化(価値観や思考)に合った人材であることから、うちっぽい人材の採用は、

・ 採用成功しやすい
・ 社内での摩擦が生まれにくい
・ マネジメントしやすい
・ 短い期間での立ち上がり、活躍が期待できる
・ 会社に馴染みやすいことから、早期離職を防ぐことができる

などと言った効果が期待でき、会社を安定して成長させたい時にはとても心強い仲間となります。

一方で、同じような人材が多くなってくることで、
・ 同調圧力が働きやすい
・ 斬新なアイデアが生まれにくい
と言った課題が生まれ、変化の激しい時代に必要となる強力なリーダーシップが生まれにくくなります

逆に、うちっぽくない人材は会社にとっては異分子的存在になるため、
・ そもそも採用することが難しい
・ マネジメントの難易度が高い
・ 社内での軋轢を生む可能性がある
・ 会社に馴染めず、早期退職につながる

など、せっかく採用したのに全く活躍してもらえないリスクがあります。

しかしうちっぽくない人材を上手く活躍させることができれば、
・ 組織にとって大きな刺激となる
・ 今までにない新しい発想を生み出す
・ 組織の多様化

など、上手く会社にハマってくれると今まで会社に起きなかった変化を生み出すきっかけを作る効果が期待できます。

ではうちっぽい人材を確実に採るべきタイミングと、うちっぽくない人材をチャレンジしてでも採るべきタイミングは、それぞれどんな時なのでしょうか。

3. それぞれを採用すべきタイミング

タイミング1:会社の今いるフェーズで考えよう!
タイミング2:会社の持つ視点の長さで考えよう!

ここからはあなたの会社がうちっぽい人材とうちっぽくない人材どちらの採用を優先すべきタイミングかどうかを判断する方法をお伝えします。

タイミング1:会社の今いるフェーズで考えよう!

ビジネスマンなら誰しも聞いたことがある会社の成長フェーズという言葉。
分かりやすいタイミングとしてはこの成長フェーズに合わせた採用があります。

・ 創業期
創業期はまだ「うちっぽさ」が曖昧で、どのような人物が会社に合うか判断が難しい時期です。そのような時期は、創業者(オーナー)の理念に共感し、一緒に全速力で走れる人材が望ましいと考えられます。

・ 拡大期
この時期は、売上を伸ばしていく時期であり、より会社のカラーを打ち出していく時期です。そのため、拡大期は同じ考えを持つ人材を多く採用することで、早い立ち上がりを期待でき、またこのタイミングで採用した人材は、将来的に役員や幹部になる可能性もあるため、自社らしい思考の形成にもつながるでしょう。

・ 成熟期
成熟期は一度立ち止まって、組織や事業の見直しを行う時期になります。競合との差別化や経済の変化に対応することが期待されるため、「今までにない」やり方や考えを取り入れる必要があります。うちっぽくない人材を入れることで、革新的な発想が会社に生まれることが期待できます。

タイミング2:会社の持つ視点の長さで考えよう!

次に大切なのは、会社の持つ視点の長さです。
これは少し見極めることが難しいタイミングですので、ここから先はぜひ社内の状況をしっかりと考えながら読んでみて下さい。

先ほど、うちっぽくない人材はマネジメントが難しいとお伝えしましたが、うちっぽくない人材は社内で異分子扱いされることが多く、マネジメントだけでなく、社内に馴染むことも時間がかかることも!

新しい発想が欲しくて、価値観が違う人材をわざわざ採用しているので、このような問題が発生することは想定内のはずですが、実際、配属先では「なんでこんな人、採ったんだ?うちじゃ活躍させられないぞ!?」という本末転倒なことも良く起こっています。

そこで、うちっぽくない人材を採用し、定着させるのにベストなタイミングは、
・ 経営陣が長期的な視点を持って、経営を行っている
社長や経営陣が短期間で代わらず、組織の方針がブレない
・ 経営基盤が磐石である
人材育成に失敗した時 、金銭的にも再チャレンジする余裕がある

つまり長い目で人材の成長を見守れる土台そして覚悟があるかどうかが重要です。

異分子を入れることは、大なり小なり組織にストレスを与えることになるので、短期的にはマイナスに影響することが想像できます。
自分と違うタイプだから一緒に働きづらい、自分と違う価値観だからマネジメントしにくいというネガティヴな状況を乗り越えられる環境であるか、ぜひそこを見極めて下さい。

短期での成果を期待したい場合は、うちっぽい人材を採用するか、もしくは、うちっぽくない人材を業務委託などで外注することも選択肢として入れるのも良いでしょう。うちっぽくない発想は必ずしも社内から生み出す必要はありません。

4. 【まとめ】「うちっぽくない人材」の採用は大きなチャレンジ

「うちっぽい・うちっぽくない人材」それぞれが生み出す効果とリスク、どちらを採用するタイミングかについて今回はお話ししてきました。
採用は会社にとって重要な課題ですが、その中でも「うちっぽくない人材」の採用は大きなチャレンジです。

良い採用を行う上で重要なのは、自分たちの会社の環境やフェーズにあった人材を採用することです。これが上手くいけば、採用成功および社員の定着率向上につながることでしょう。

ここまで、会社それぞれの「うちっぽい人・うちっぽくない人」をどう分析していくか、また本当に採用が必要かどうかをお話ししました。
次回からは、「うちっぽい人・うちっぽくない人」を採るための基本的な考え方をお伝えしていきたいと思います。

【関連記事】
第1回:「うちっぽい採用」ってなに?
第3回:新卒採用で「うちっぽくない人材」を採用するには?
第4回:中途採用の「うちっぽくない人材」採用のキーはエージェント!?
第5回:「うちっぽくない人材」採用の内定から活躍に向けて

増渕知行
代表取締役 クライアントパートナー

理想を追求し続けたら、起業に行きつきました。ジャンプは自分の人生そのものです。ジャンプはクライアントにとって、頼れる同志であり続けたい。社員にとって、燃える場所であり続けたい。約束は守る男です。週末は野球がライフワーク。


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