ビジョン、カルチャーへの共感が、ぶれない組織を作る ~LIFULL/羽田氏(後編)〜


前回「採用力」を構成する5つの力という記事を書きました。
人材採用は、部分的な対処に追われる「場当たり的な活動」になりがちであり、結果、抜本的な課題が解決しないままになりやすい。だからこそ採用の「全体」をみるフレームが必要です。そのフレームとなるのが、この5つの力のスパイラルです。まずは自社の「独自価値」を明確化する。
そして短期的には「出会う~つかむ~口説く」を貫くコンセプトとストーリーを最適に設計・推進し、できるかぎりの成果を出す。同時に中長期の視点で「高める・広める」ための施策を練り、求心力を高めていく。
これが採用力強化の基本シナリオです。
今回の記事では、短期的な採用力強化の肝となる「コンセプトメイク」について基本的な考え方を解説したいと思います。オンライン採用が一般化した現在ではより競合との差別化が課題となり、コンセプトメイクの重要度が高まっています。
採用コンセプト。便利な言葉ですよね。なんとなく重要そう。なんとなく価値ありそう。でも、うちの採用コンセプトって何?あんまり明確になってない。そんな企業が多いかと思います。「良さげだけどフワっとしている」採用コンセプトなるものは、どんな定義でどんな価値があり、どうやって考えればよいのでしょうか?
結論から申し上げれば、採用コンセプトとは、
「採用活動に一貫性をもたらすメッセージ」です。
ここでいう「一貫性」とは、以下2つの軸で説明できます。
横軸は、採用コミュニケーションの前半~後半に至る一貫性。
縦軸は、社外に向けての発信と社内における認識の一貫性。
これらを縦横に貫くメッセージが、採用コンセプトのあるべき姿です。例えば、
【1】就職サイトで得た第一印象
【2】多少興味をもって閲覧したホームページの印象
【3】とりあえず行ってみた会社説明会の印象
【4】その後の選考で出会った面接官や社員の印象
【5】最終選考で会った社長の印象
という5つの接点があった場合。これらの印象がバラバラの企業、ありますよね?
●「信頼」への悪影響(なにがホントかわからない)
●「記憶」への悪影響(結局なにも覚えてもらえない)
が起きやすくなり、志望度が上がりません。
もちろん単純に同じメッセージを連呼するわけではないのですが、短期間に複数の企業と接触する就職・転職においては何かしらの一貫した軸となるメッセージがあり、それに加えて接点のタイミングや特性に応じた訴求がなされることが志望度を高めるポイントです。
また社外に発信しているメッセージを、採用にたずさわる社員がしっかり認識していることも重要です。
社外に向けた採用メッセージは、求職者への約束です。例えば就職サイトで「若くして大きな仕事にチャレンジできる会社です!」とメッセージすれば、それは求職者への約束です。その後の接点においても関わる社員が認識し、約束を守りつづけることで信頼を得られます。
では「採用活動に一貫性をもたらすメッセージ」である採用コンセプトは、どのように考えていく必要があるのでしょうか?
採用コンセプトの必要条件は3つあります。
1.自社らしく
2.ターゲットに刺さり
3.競合が言いにくい
ことです。
「1.自社らしく」が満たされていなければ、ウソくさくなります。必ずどこかで破綻します。
「2.ターゲットに刺さり」は説明の必要もないかもしれませんが、志望度を高めるものでなければなりません。
「3.競合が言いにくい」が抜けがちで、最後まで相対比較される採用活動においては競合との差別化は非常に重要です。
この3つを満たす要素は何なのか?有効なフレームワークが、「採用3C分析」です。
「Company(自社の魅力)」と「Candidate(候補者のニーズ)」の共通項が、「共感の接点」。
「Company(自社の魅力)」と「Competitor(競合のアピール)」の差異項が、「競合との差別化」。
「共感の接点」と「競合との差別化」ともに満たすものが、採用マーケットにおける「独自価値」となります。
ジャンプは採用3C分析にもとづいて企業の独自価値を明確化し、採用コンセプトに昇華させる技術がコアの会社ですが、これまでの経験から「独自価値の軸となりえる9つのカテゴリー」を開発しています。
この「企業姿勢」「事業・商品」「経営基盤」「仕事特性」「成長・キャリア」「報酬・待遇」「人事施策」「人的資産」「組織風土」の9つのどこに独自価値がありそうなのかを明確にすること。それが採用コンセプトメイクの前半プロセスです。
後半プロセスは、いよいよ「メッセージ開発」となります。
ここは正直クリエイティビティも重要になるため、弊社のような外部パートナーに委託するのも有効です。とはいえポイントを解説しますと、
1.端的なスローガン
2.訴えかけるメッセージコピー
の二層構造で開発することが重要です。
「1.端的なスローガン」は、共通認識をつくる上で重要です。長い言葉は浸透しません。極論、できる限り短くするくらいの考え方か必要です。
スローガンを端的にする分、「2.訴えかけるメッセージコピー」でしっかり「その心は?」を訴求する必要があります。
先ほどご説明した「9つのカテゴリー」ごとに、一貫性を生み出す強いコンセプトの例をまとめましたのでご参考ください。
最後にもう一度、このスパイラルで整理します。
まずは自社の「独自価値」を明確化しましょう。そして「出会う~つかむ~口説く」を貫くコンセプトを確立し、採用活動に一貫性をもたせましょう。
採用コミュニケーションの前半~後半に至る一貫性、社外に向けての発信と社内における認識の一貫性が、「信頼」と「記憶」を形成するのです。
ジャンプのクライアント事例もご参考になれば幸いです。
三井物産ケミカル株式会社さま
株式会社オープンストリームさま
株式会社メイテックさま
また、ジャンプでは、採用戦略のフレームワークを半日で習得できる集中講座「STRUCT ACADEMY」を開催しています。詳細は以下より、ご覧いただけます。
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