STRUCT REPORT
採用コラム

【イベントレポート】加島 禎二 氏(株式会社セルム 代表取締役社長)が語る「日本のリーダー企業が取り組む、人と組織のトランスフォーメーション」

2021年6月1日、有識者を集めたオンラインイベント「経営×採用STRUCT サミット2021」を開催いたしました。

コロナ禍により、多くの企業経営は方針転換の真っただ中にあります。
経営方針や事業戦略の変化にともない、採用戦略・人事戦略も描きなおす必要がある。そんな人事・経営者のみなさまに、23新卒採用においても、トレンドをキャッチしながら具体的施策のヒントを得ていただける機会を目指したイベントです。

本記事では、加島 禎二 氏(株式会社セルム 代表取締役社長)によるプログラム『日本のリーダー企業が取り組む、人と組織のトランスフォーメーション』について、当日の様子を一部ご紹介いたします。

世界で勝ち抜くために、日本企業が迫られている真の課題は何なのか。
組織人材開発のプロフェッショナルファームである株式会社セルムの代表加島禎二氏より、日本のリーダー企業が取り組んできた、そして今後多くの企業が取り組みを始めるであろう「人と組織のトランスフォーメーション」について、圧倒的経験値と豊富な事例をもとに、お話をしていただきました。

後半は、動画にて弊社代表 増渕とのトークセッションや質疑応答の様子をご覧いただけます。
組織のカルチャー改革を進めるための具体的な施策や新卒採用・教育との関連性など、参考にしていただけるかと思いますので、ご興味がございましたら、申請の上、ご活用ください。

1990年にリクルート映像入社。1998年創業間もないセルムに入社し、2010年代表取締役社長に就任。
一貫して「理念と戦略に同期した人材開発」を提唱し、20年間に亘って、次期経営リーダーの開発や人材開発体系の構築、グローバル人材育成、理念浸透、組織風土変革などに携わる。

登壇者:加島 禎二 氏
株式会社セルム 代表取締役社長

1.はじめに

増渕:今回のセミナー最後のセッションとして、株式会社セルムの加島社長をゲストとしてお迎えし、展開させていただきます。

セルムさんは、いわゆる組織開発・人材開発というテーマで、日本を代表する企業を数多く支援されてきた会社で、今年4月には上場もされています。
加島社長ご自身も色々なご経験をされてきている中で、「これからの日本企業はどうあるべきか」を、今日のサミットでお話をしていただけることになりました。
まずは、加島社長からご講演をいただき、その後、皆さまからの質問にお答えをする時間を設けています。

加島:本日は、「日本のリーダー企業が取り組む人と組織のトランスフォーメーション」というテーマで、お話をさせていただきます。

株式会社セルムは、研修・コンサルティングサービスを軸に、大企業に特化して人材・組織の課題解決に取り組んでいる点が特徴です。1995年創業以来、「人と企業の可能性を広げ、世界を豊かにする」という世界観を持ち、持続的な企業価値の向上を支援させていただいております。

企業価値向上を「人」の視点からアプローチし、永続的な成長に向けた「リーダー開発」、リーダー開発を通じた「企業風土の醸成」をメインフィールドとし、経営塾を基盤に5つの主要サービスを展開しています。(詳しいサービス内容はこちら→株式会社セルム

2.人と組織の変革のネクストステップとは

1)チェンジマネジメントからトランスフォーメーションへ

この20年間は、チェンジマネジメントの時代だったなと思っています。
バブル崩壊をきっかけに、人の変革では、「人事制度改革」「中途採用拡大」「働き方改革」などが行われ、事業・組織の変革では、「M&A」「事業再編」「グローバル化」など、チェンジマネジメントの時代が長く続きました。
今後は、「トランスフォーメーション」という表現に変わってくると感じています。

人と組織の現状に対する声は、実はずっと変わっていない部分があります。
例えば「TOPダウンで、やり方を細かく指定される」「徹底した管理体制がある」「会話が少ない、提案しにくい組織」というような声です。
企業の外側は変わってきたけれども、内側は変わっていないと感じられることが皆さんもあるかと思います。

チェンジマネジメントで変えられるものは、外側(外形)です。
そのため、「理念やビジョンが定着・浸透しない」「変革の効果が思ったほど出ない」との声も多く、内側(中身)を変えていくのがなかなか難しい現状があります。

トランスフォーメーションとは、「内側の変革」です。
企業も人もサスティナブルになるためには、「内側の変革」が必要で、「企業体質が変わる」などの「質的な変容」が求められています。

これまでは、事業のポートフォリオ(事業構成)の再編やM&Aによって企業価値を向上させていたが、これからは「自分の力で成長することが必要だ」として、事業の核となるテクノロジーは自らの力で切り開かなければならない、との見解を示している経営者の声もあります。

2)両利きの経営

『両利きの経営』という言葉をお聞きになったことがある方もいらっしゃるかと思います。
『両利きの経営』を「変革」という文脈で捉えてしまうと、既存事業と新規事業を分けて考えてしまいがちです。
そもそも『両利きの経営』とは、両方を使いこなす、つまり、別々に行うのではなく「深化の先に探索がある」ということです。

「深化」とは、既存事業でお客様のことに夢中になり、夢中になればなるほど、やりたいことが出てくることで、これは「探索」でもあるのですが、「深化」と「探索」を分けて考えてしまうところが、内側が変わっていかない構造にしてしまう理由なのかなと考えています。

そもそも「事業成長の原理」は、自分たちの強みを発揮して、集中して勝ちパターンを作り、それを拡大していくことで、コアコンピタンスが再定義されて、さらにその勝ちパターンが強くなることです。
つまり、集中→拡大の「深化」から拡大→再定義の「探索」へ移行を続けるサイクルであり、深化の先に探索があるということです。

3)DX

DXの目的は、顧客の問題解決であり、組織に価値観の変化を起こし、新たな顧客価値を創造することです。
デジタライゼーションを起点とした質的変容、すなわち「トランスフォーメーション」を起こしていこう、ということになりますが、やはり現状では、テクノロジー・効率化ありきで進んでいることが多いかなと思います。

ここまでが、「チェンジマネジメント」と「トランスフォーメーション」は、質的に少し違うものではないか、というお話です。

3.人と組織のトランスフォーメーションとは何か

1)人のトランスフォーメーション

人のトランスフォーメーションは、人の「内側の質的変容」だと考えています。
人にも「内側」と「外側」があります。外側には、その人のスキルや業務プロセスがあり、内側には、モノの捉え方や考え方があり、その「内側」へアプローチをしていくことです。
人へのトランスフォーメーションとしては、主に下記3つの働きかけがあります。

① willを問うアウトプットの「場」
② 多様であることが普通の「場」
③ 会社を離れた自分の価値を考える「場」

このような3つの「場」が、内側の変容に働きかけていく上で、とても重要です。
次に、本日のメインテーマである、「組織へのトランスフォーメーション」について、お話をしたいと思います。

2)組織のトランスフォーメーション

人と同じように、組織のトランスフォーメーションとは、組織の「内側の質的変容」です。
外側には、組織構造・権限と役割・業務プロセスなどがあり、内側には、組織の見えないルール(暗黙のルール)や、その組織ならではの意思決定のパターンなどがあります。
これを変革・改革させていくことが、すなわち、組織カルチャーの改革になります。
組織カルチャーを決定づける要素については、下記の3つにまとめられると思います。

まず、土台にあるのは「変化への適応力」です。
変化への適応力とは、環境変化に従い行動や考え方をうまく切り替える能力です。
「変化の適応力」を自社が今どのくらい有しているか、これをしっかり見極めないと組織カルチャーへの働きかけは、うまくいかないと考えています。

もう一つは、「コアコンピタンス」です。
コアコンピタンスとは、自社の「強み」を「価値」に変える、組織に根付いた「能力」です。
「自社の強みは何ですか?」と言うと、「ここに集中しています」や「研究開発です」など、強みは言いきれても、そこにある「能力」が何かを見極められていない、抽出しきれていない組織が多いように思います。

そして、非常に大事なのが「世界観」です。
「世界はもっとこうしたらより良くなるはず」という、自社なりに到達した真理、これが大事になってきます。

これらの3つの要素を磨き高めるためには、「世界観」でいえば、「創業精神」「経営理念」「パーパス(自社が存在する目的・社会における存在意義)」を組織に浸透させることが必要です。

「コアコンピタンス」については、組織の成功と失敗から学びつくすことをしないと、なかなかうまく抽出できないのです。
そして、その土台にある「変化への適応力」でいえば、「心理的な安全性を高める」「アンラーンする(成功体験を捨てる)」「人間力を高める」という要素がとても大切だと思っています

※具体的な「心理的安全性の高め方」「アンラーンのプロセス」「人間力を高めるとは」について、また、細谷英二氏が仕掛けたトランスフォーメーションや、DBS銀行ほか、組織カルチャー改革への各社の取り組みについて、動画内に詳細の説明があります。

4.おわりに

企業は、人を前向きにさせる仕組みだと考えています。
「お客様」と「ライバル企業」がいて、「市場」があり、そこに対して成長していかなければ生き残れないわけですから、非常に前向きな仕組みです。

そして、企業を夢のある場に変えていくことが、世界をサスティナブルにする公式だと思っています。
その中で信頼と創造の風を組織に巻き起こし続けることが、人事の使命であると感じています。

続きは、動画にて弊社代表 増渕とのトークセッションや質疑応答の様子をご覧いただけます。
組織のカルチャー改革を進めるための具体的な施策や新卒採用・教育との関連性など、参考にしていただけるかと思いますので、ご興味がございましたら、申請の上、ご活用ください。

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