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STRUCT REPORT
採用コラム

【イベントレポート】ニトリ、JTの採用イノベーションは、 どのように生み出されたのか?

2021年6月1日、有識者を集めたオンラインイベント「経営×採用STRUCT サミット2021」を開催いたしました。

コロナ禍により、多くの企業経営は方針転換の真っただ中にあります。
経営方針や事業戦略の変化にともない、採用戦略・人事戦略も描きなおす必要がある。そんな人事・経営者のみなさまに、23新卒採用においても、トレンドをキャッチしながら具体的施策のヒントを得ていただける機会を目指したイベントです。

本記事では、永島 寛之 氏(株式会社ニトリホールディングス 組織開発室 室長)、米田 靖之 氏(LIFE STAGE LAB 代表)によるプログラム『ニトリ、JTの採用イノベーションは、どのように生み出されたのか?』について、当日の様子を一部ご紹介いたします。

「多数精鋭」を追求し、業界の枠を超えた採用成果を出し続けるニトリ。
「変人採用」という新機軸を打ち出し、世界展開を成功させることにつなげたJT。
採用マーケットの歴史に残るイノベーションは、どのように生み出されたのでしょうか。株式会社ニトリホールディングスの永島寛之氏と、日本たばこ産業株式会社(JT)で人事部長・執行役員をつとめた米田靖之氏に、モデレーター増渕が迫ります。

このセッションでは、まず各社の取り組みについてご説明をいただいた後、増渕を交えた3名での対話や皆さまからの質問にお応えする時間を設けております。
詳しいスライドや、トークセッションの様子をご覧いただける動画もご用意しておりますので、ご希望の方は申請の上、ご活用ください。

東レ株式会社、ソニー株式会社、Sony USA Inc.を経て、2013年株式会社ニトリホールディングスに入社。
厚生労働省「多様な働き方」普及・促進事業運営委員、厚生労働省「勤務間インターバル制度」普及促進委員なども務める。

登壇者:永島 寛之 氏
株式会社ニトリホールディングス 組織開発室 室長

日本専売公社(現JT)に入社。人事部長、製品開発部長、たばこ中央研究所所長、執行役員R&D責任者などを歴任。2015年の退任後はLIFE STAGE LABを設立し、企業の人材採用アドバイザーを務めている。

登壇者:米田 靖之 氏
LIFE STAGE LAB 代表

1.はじめに

増渕:このセッションは、『ニトリ、JTの採用イノベーションは、どのように生み出されたのか?』という、本イベントの中では唯一、個社の取り組みにフォーカスしたプログラムです。

JTで採用責任者を歴任された米田さん、現在もニトリホールディングスで人事責任者をされている永島さんには、弊社ジャンプ株式会社の自社メディア内の企画「V字回復の採用戦略」でのインタビューをきっかけに、ご登壇いただける運びとなりました。

「Ⅴ字回復の採用戦略」では、優秀な戦略人事の方にオンラインインタビューをし、「事業に貢献する採用や人事はどうあるべきか」を記事として、前編・後編でまとめております。こちらもぜひ、人事の方々に見ていただければと思います。
V字回復の採用戦略はこちら

米田さん、永島さんは共に、人事の仕事の本質を追求されてきた印象はもちろんですが、「JT」「ニトリ」どちらの会社も採用戦略の取り組みは、ユニークなだけでなく非常に学びが多いなと思っています。

JTは半官半民の企業、ニトリは小売業ということで、ややもするとディフェンシブになりがちな組織づくり・組織戦略・採用を極めてイノベーティブなものに変えてきた、その立役者でもあります。

2.JTの取り組みについて

米田氏:まず、はじめに自己紹介をさせていただきます。1982年にJTに入社し、その後1987~1989年に人事部・採用担当、1996~1997年に人事部・採用担当チームリーダー、2005~2007年に人事部長と、人事以外の業務にも就いておりますが、だいたい10年置きぐらいに採用に関わっておりました。

これが結果的に良かったです。新卒の採用が本当にうまくいったかどうかは、やはり10年くらい経たないとわからないわけです。
通常ですと、大企業の場合、採用担当は2~3年で変わっていくのが一般的ですが、私の場合はたまたま10年ごとに担当したので、10年前に自分が担当した事例の成功・失敗の振り返りができ、その繰り返しができたことで採用ノウハウを蓄えてきました。

その後いくつかのポジション(研究開発・M&A・経営企画・製造部門・執行役員・R&D責任者等)を経て、2015年末にJTを退職し、2017年に「J-CAD」という就活生の選抜コミュニティ(自分に合う企業を見つけるためのノウハウを習得する選抜コミュニティ)を立ち上げ、現在5年目を迎えました。

3.JT採用担当当初(1987年)の状況

JTの採用担当になった当初(1987年)は、バブルの真っ盛り。
過去30年間の採用業界を見てきた中でも最も厳しい時代、完璧な学生の売り手市場でした。学生が行けば上場企業の内定が出ると言われている時代でした。

JTの採用状況としては、1985年に専売公社が民営化されてJTに変わり、就活では急に人気が落ちました。特に理系の学生からの人気が落ち、1988年頃まで理系のいい学生が採用できなくなりました。

当時の人事部の偉い方の「理系が取れないんだったら、理系に(採用を)やらせたらいいんじゃないか」という思い付きから、理系入社した私が採用担当になったわけです。

4.従来の採用方法から変えたこと

その時に従来の採用方法をガラリと変えました。
当時のJTはグローバル展開などもしておらず、言えるとしたら「日本で一番大きなタバコ会社です」ということくらい。それだけでは学生は来てくれないので、結果的に大きく3点を変えました。

「JTのユニークな社風を武器にする」

これは自分に置き換えて考えた時に思いついたのですが、工学部出身だったので周りの友だちの多くはメーカーに就職していました。
JTは給料が高いわけでも自分が偉くなっているわけでもないけれども、友だちの会社をうらやましいとは思わなかった。なぜかな?と考えた時に、当時は語彙力もなかったので「JTのいい加減な社風が自分に合っているんだな」と気付いたのです。

すでに色々な施策を打ち、失敗した後だったので、「社風・いい加減さ」を武器にするしかないと思ったのです。そこで、苦し紛れに「JTはいい加減な会社です」という採用パンフレットを作りました。ただこれは全く学生に刺さらず、うまくいきませんでした。

「常識の逆を行く作戦」

しかし武器は社風しかないと、どうするか考えた時にひらめいたのが、「常識の逆を行く作戦」です。

当時の採用業界の常識は(今もあまり変わってないと思いますが)「1000人の学生に会うよりも、3000人の学生に会った方が、良い採用ができる」というものでした。とにかく母集団を増やそう、というのが一般的な作戦です。
ただ、他社のまねをしていてもダメだろうと思い「1000人の学生に会うよりも、100人の学生に深く密接に会った方が、良い採用ができるのではないか」と思いつき、そちらに舵を切りました。
全く根拠はなかったのですが、他に手があるわけでもないので、とにかくやってみるしかないと、ひたすら自分で学生に会いました。当然一人で会える数は限られていますので、前年に比べると接触できた学生数は半分~3分の1に減りましたが、それでも会い続けました。

③「いい学生を採る」から「合う学生を採る」へ

最後に、これまでの視点を変えて「いい学生を採る」から、「合う学生を採る」に変えました。

これは最初から決めて動いていたわけではなく、学生と会っていくうちに、だんだんと「相性」がわかってきたのです。学生の方も「JTとの相性」がわかってきます。
優秀な学生でもやはり合わない人は当然いますから、やっぱり合う方が一緒に働いても楽しいだろうなと。ほぼ個人的な好みで、合う学生に絞って徹底的に話すことに舵を切りました。

理系の総合職では20名程度の採用枠でしたが、最低でも1人あたり10時間くらい話をしてから内定を出しました。話をするのも、私だけでなく現場社員3~4名とも話す機会をもったことで、JTのこともよくわかり、結果的には、当初は志望していなかった学生も含めて20名入社してくれました。

当時は、とにかく「自分が採りたい学生を採る」ことに拘っていました。
では、どんな学生を採用したかったかと言うと、即戦力ではなくて「10年後に活躍してくれる人材」です。
「10年後のJTって、どんな会社なのか」公式の見解はなかったのですが、私も入社7年目だったので、公式の見解がないことを逆手にとって、自分でつくってしまったわけです。
「10年後のJTはこんな会社にしたいな」と考えて、それに合うような人材を判断して、いいなと思った学生を口説きまくる、という採用でした。

当時、わたしは一担当者で、採用や面接の権限はありませんでしたが、「自分が採用する」と言う気概を持っていました。これは、その後若手の採用担当にも伝えてきました。

今は「変人採用」と言うネーミングを付けていますが、「変人」は変わった奴じゃなくて、「普通じゃない発想ができる」というところに拘って採用をしていました。
将来「普通じゃない発想ができる人材」は必ず必要になるだろうと、20名くらいなら全員「変人」でも構わないかなと思って、敢えて狙って採用しました。

5.理系総合職採用のその後

総合職の理系採用は毎年20名くらい採用していますが、結果的にどうなったか。
民営化直後で理系採用がうまくいっていなかった1986年~1988年入社について、現在のJTの執行役員25名中、86~88年入社の理系総合職は一人もいません。(0/25)
やはり、採用の時にうまくいかないと、その後の活躍は難しいなということを表わしています。

「変人採用」に舵を切った1989~1990年に入社した理系総合職のうち、現在の執行役員は7名です(7/25)。
結果的に採用を変えたことで、ここが一番会社に貢献できた点かなと感じています。

以上が、米田さんからのお話となります。
後半では、参加者からの質疑応答の時間を設けました。その様子は、動画にてご覧いただけます。

6.未来から逆算したニトリの採用取り組みについて

永島氏:ニトリの永島です。どうぞよろしくお願いいたします。
米田さんのお話にあった「逆張り」「10年後を見据えて、どう話していくか」など、ニトリの取り組みにも共通する点があるなと思います。
私からは「未来から逆算した採用の取り組み」というタイトルでお話をいたします。

まず、簡単な自己紹介ですが、1998年~2011年までは、メーカーでマーケティングの仕事をしていました。その後2013年に、ニトリに入社しました。
2015年から新卒採用のMGRに就任し、現在は組織開発室の室長を務めています。採用については、2015~2016年の2年間ですが、0ベースから色々なことができた、変化を起こせた時期でした。

現在も本質はあまり変わっていないのかなと思いますので、今日は採用のお話をさせていただきます。

7.採用で大切にしていること

「ニトリ」といえば「家具」「ホームファッション」のお店というイメージを当然お持ちかと思いますし、その通りなのですが、我々が提供しているものは、「住まいの豊かさ」です。これを世界の人々に提供することを志(ミッション)としています。

営業利益率・労働生産性も非常に高い会社でして、他の小売業に比べて一人当たりの労働の付加価値の高さがニトリの特徴です。これを人材の力で高めてきたのも組織の特徴です。
なので、採用はここ数年に限らず、昔から非常に大切に考えてきた歴史があります。

あくまで「コアコンピタンス」が最も大切です。このビジネスモデルの上に、グローバリゼーションとデジタルトランスフォーメーションがあるという前提です。

「グローバル・デジタルに興味がある」「世の中の暮らしを変えていきたい」「海外に展開したい」という方に入社していただきたいのですが、同時にコアコンピタンス「小売業の仕組み」についても興味を持ってもらう、「コアコンピタンスが中心である」というところを採用の根幹に置いています。
この2つが両立しないと、なかなか活躍は難しいので、採用ではそのような設計をしています。

8.マーケティングの観点で採用を考える

2015年に初めて採用に携わりましたが、非常に変わった世界だなと思いました。
まず「横並び」であること。「業界」という序列があって、人気のない業界はなかなか順番が回ってこなかったり、セミナーにノミネートしてもらえなかったり、なかなか大変だなと最初は思いました。

「採用手法」についても、違和感がありました。
今では当たり前ですが、広報をしてよい時期とダメな時期があり、優秀な学生に出会う手段も「マス」にアプローチをする、という横並びですよね。
本来は採用をしたい方にアクセスしたいけれども、別の常識があったりと。

「採用広報」も「新卒採用サイト」が基本ですが、色々調べた結果、試験を受ける方は「新卒採用サイト」経由でも、入社に至る方は「オウンドメディア」から来た方だったりしたわけです。

実は、「常識」として行われていることが、あまり当たっていなくて、マーケティングの観点でデータを見るともっと良い方法が浮かびそうだなと、その当時感じたのです。
なので、ニトリでは当時から採用を2つのフェーズに分けています。

1stフェーズは「インターンシップ期」です。もともと興味を持たれにくい業界でもあるので、とにかく興味を持ってもらうフェーズです。

2ndフェーズは「面談/面接」です。面談/面接を通じて、興味を持ってもらうのではなくて、「あなたの好奇心や価値観は何ですか」「そこに、ニトリのやりたいこと、やっていくことは合いますか?」というところを構成していくフェーズです。
面接は「選ぶ」のではなく、「一緒に作っていく」、そのような考え方をしています。

9.ニトリの採用フェーズの特徴

では、この2フェーズでどのようなことを特徴として進めてきたのかをお話します。

1stフェーズ「インターンシップ重視型採用」

データを分析して明らかだったのが、「インターンシップ」が最大の採用広報ということです。
インターンのすごいところは、「紹介」です。インターンで良い経験をできた学生は、翌年に後輩を紹介してくれる、つまり、広報をしてくれるのです。
採用・不採用に関わらず、「ニトリのインターンに行けば色々と教えてもらえるから(入社の意思に関わらず)行ってみな」という話をどんどん広めてくれます。
なので、私たちはインターンシップを一番大切にしています。

例えば、普段目に見えている「ニトリ」とは違う一面、製造業の部分を見ていただくような場面をつくったり、インターンで考えぬき、創り出し、語りあかす経験を通して、自分自身が解決したい社会課題を探す場にしました。
現在は「徹底的に会って話をする」という機会を設けるのが難しくなってきているので、Web上で体験できるようにしています。

「配転体感ワーク」といって、付加価値を作り出している小売業以外の部分(商品部・デジタル・広告部部門)を見ていただくことにも力を入れています。

その他にも「本部社員交流会」という機会もつくっています。
リモートが進んだことで、1対100とか200などマス対応をする企業も増えていますが、このような機会こそ1対5など少人数にして、プレミアム感を出すことがポイントです。
マスができるようになった時代だからこそ、パーソナルな場を持つのは非常に大切で、「10人以上にならないように」と伝えながら、進めています。

あと一つ、インターンシップで心掛けているのは、「就職に悩む学生をゼロにしよう」ということです。
そのために、ニトリの幅広い職種を使って、色んな「キャリア」や「企業」について考える「きっかけ」を提供する取り組みをしています。

2ndフェーズ「選考の中で、未来を描いてもらう」

個人の価値観・好奇心の言語化と、未来組織のミッション・ビジョンの言語化、この2つがつながったところに採用があります。
面接を通じて、学生さんが意外と気付いていない「自分の価値観・好奇心」を気付かせてあげる、その上で自社とつないでいくのが、採用かなと思っています。

入社3~5年目の専任のリクルーター体制をつくり、学生さんには30年先のキャリアプランを想像してもらい、面接を通して一緒にキャリアを構築しています。そのために、インターンがベースとしてとても役立っています。

このように2段階で採用活動を構成しています。
結果として、採用した方は「未来が考えられる人」が多いです。
全国と比較しても、「叶えたい夢がある方」が採用されている、という現状もあります。

採用したい学生が採用でき、さらに、小売業を志望していない学生にもアクセスできており、ニトリと併願している方は、メーカーが40%、金融/ITが33%という結果もあります。

流通業界の求人倍率が12.5倍と言われている中、マイナビの就職人気ランキングで5位を獲得しました。人気がない業界だからこそ、見せ方を変えることできちんと興味を持ってもらえる、ということを採用を通じて体現してきました。

これをイノベーションともいえるかもしれませんが、特別なことをしたというより、「一つ一つ積み上げていく」ことが採用については、大切だと感じています。

後半は動画にて、弊社代表 増渕を交えた3名でのトークセッションの様子をご覧いただけます。
米田氏・永島氏の講演での詳しいスライドや、参加者からの質疑応答など、今後の採用活動にお役立て頂けるかと思いますので、ご興味がございましたら、申請の上、ご活用ください。

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