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STRUCT REPORT
採用コラム

【イベントレポート】伊達 洋駆 氏(株式会社ビジネスリサーチラボ 代表取締役)が語る「オンライン採用・オンライン面接の最新研究成果」

2021年6月1日、有識者を集めたオンラインイベント「経営×採用STRUCT サミット2021」を開催いたしました。

コロナ禍により、多くの企業経営は方針転換の真っただ中にあります。経営方針や事業戦略の変化にともない、採用戦略・人事戦略も描きなおす必要がある。そんな人事・経営者のみなさまに、23新卒採用においても、トレンドをキャッチしながら具体的施策のヒントを得ていただける機会を目指したイベントです。

本記事では、伊達 洋駆 氏(株式会社ビジネスリサーチラボ 代表取締役)によるプログラム『オンライン採用の最新研究成果』について、当日の様子を一部ご紹介いたします。

株式会社ビジネスリサーチラボでは、「アカデミックリサーチ」というコンセプトで、組織サーベイ(従業員を対象にした意識調査)や人事データ分析(社内の各種データ分析)サービスを提供していることから、学術的な視点も織り交ぜながら、解説していただきました。

この一年間で急速に進展したオンライン採用。
採用面接がオンライン化することによって一体何が変わるのか、これまでの常識とこれから先の新しい常識は、どのように変化していくのでしょうか。

新たな採用戦略を体現する年度になるであろう23新卒採用計画や、オンライン採用に関する課題解決にもお役立ていただけましたら幸いです。
詳しいスライドや、オンライン採用に関する質疑応答の様子をご覧いただける動画もご用意しておりますので、申請の上、ご活用ください。

神戸大学大学院経営学研究科 博士前期課程修了。2011年に株式会社ビジネスリサーチラボを創業。以降、組織・人事領域を中心に、民間企業を対象にした調査・コンサルティング事業を展開。
著書に『オンライン採用:新時代と自社にフィットした人材の求め方』(日本能率協会マネジメントセンター)

登壇者:伊達 洋駆 氏
株式会社ビジネスリサーチラボ 代表取締役

1.採用面接のオンライン化で変わるもの~キーワードは「非言語的手がかり」~

伊達氏:みなさん、こんにちは。ビジネスリサーチラボの伊達と申します。今日、6月1日は採用面接の解禁日です。本日よりオンライン面接を始める会社も多いかなと思います。昨年から採用のオンライン化が進む中で、オンライン採用に関する研究知見を紹介できれば、というのが本日の大きなテーマです。
「採用のオンライン化で変わるもの」と、「対面の常識・オンラインの非常識」という2つのパートでお話をいたします。

最初のパート「採用のオンライン化で変わるもの」ですが、採用がオンラインになり、だいたい6割ぐらいの企業で部分的にオンライン採用を導入している、という調査結果もあります。
採用がオンライン化されたことによって、どう変わったのか、について最初に説明します。

初めに結論を申し上げますと、「惹きつけは苦手だけど、見極めは得意」というのが採用のオンライン化でオンラインで変わったことです。もう少し嚙み砕いてお話をしますと、惹きつけ、つまり「候補者の志望度を高める」ことは苦手だけれど、「候補者の適性を評価する」見極めが得意なのです。

では、このような変化がなぜ起こっていたか、説明したいと思います。
キーワードは「非言語的手がかり」です。
これは、言葉の通り、言語以外の情報を広くさします。例えば、「身振り・手振り」や「表情」「声の調子」「服装」それから「周辺環境」などです。

オンラインの場合、対面と比較すると言葉以外の情報が少なくなるのが特徴です。
「非言語的手がかり」の量が対面よりオンラインの方が少ない、裏を返せば、対面では非言語的手がかりの量が非常に多かった、ということです。

なぜオンラインだと非言語的手がかり(言葉以外の情報)が少ないのでしょうか。
例えば「Zoom」です。Zoomのカメラは、もちろん世の中の全てを含めるわけではなくて、限られた範囲しか映していません。
「限られた範囲で行動をせざるを得ない」これが、オンラインの状況です。それ以外の範囲にあるものは必然的に制約されてしまったり、伝わらない、ということになります。

対面だと色んなものが情報として加わっていました。色んなものが見えていた状況が、カメラを通してみるとどうしても見えない部分、収集することが難しい情報が出てくるわけです。

そのようなことから、オンラインの場合は「非言語的手がかり」が少なくなっている、というのが特徴です。

2.採用面接のオンライン化による影響

では、非言語的手がかり(言葉以外の情報)が減ると、採用にはどのような影響が及ぶのでしょうか。

例えば、対面の会議からオンラインの会議になった時に、会話がぶつかってしまう経験や、あるいは「はじめまして」の状態でオンライン会議をすると、お互いに発話がぶつかり「どうぞ、どうぞ」となってしまった経験をされたことはないでしょうか。

ここで何が起こっているかというと、人と人との会話は、実は非言語的手がかりを使って会話の交替を察知しているのです。
なので、非言語的手がかりが減ってしまうと、会話が成り立ちにくくなるのが特徴です。

採用面接においては、どのような影響を及ぼすのでしょうか。候補者の心理・立場に立つと、会話がぶつかってしまうことで「自分の能力をきちんと相手に伝えることができた」とか「自分の能力がきちんと発揮できた」という感覚が低くなってしまいます。会話がうまくいかないことで、能力発揮感が得られにくい、という状況が生まれます。

自分の能力が発揮できない、言わば「自分がうまくいかない状況」に置かれると、人にはちょっとしたバイアスがあり、自分が失敗する(うまくいかない)時って、なかなかわがままなもので「自分のせい」とは捉えずに、「環境のせい」と捉える傾向があります。これは、人間が持っている基本的なバイアスの一つで、「相手のせい」とまでは言わなくても「自分が悪い」とはすぐに思えないようになっています。

そのような結果、「会話がうまくいかなかったし、この面接あんまり良くなかったよね」とか、「あの企業あんまり良くなかったよね」という気持ちになり、企業への候補者の志望度が高まりにくくなります。
ここに、オンラインは「惹きつけ」が苦手という理由があります。

ただ、オンラインにも長所がありますので、そのお話をさせていただきます。
実は、この長所に対しても「非言語的手がかり」が関係してくるのです。
非言語的手がかりが減るからこそ、生まれてくる長所があります。

非言語的手がかりは、人が人を評価する際のバイアスの温床になっています。
これは、人が非言語的手がかりに振り回されて評価を行なっている、とも言えます。つまり、適正な評価を歪める原因にもなっているのです。

例えば、対面の場合、外向性が高い人(社交的・明るい人)は、その人の能力に関わらず「面接の評価が高い」という傾向があります。「明るいか暗いか」のような性格の判断・推測は、対面での非言語的な手がかりを基に、評価・判断しているのです。

ところがオンラインになると、この非言語的手がかりが減り、バイアスが少し制御されます。
その結果、オンラインは対面と比べると、実は「見極めの精度」が良いのです。

実際の研究では、オンライン面接の評価結果と入社後のパフォーマンスや定着と相関している、という結果もあります。
つまり、オンライン面接で高い評価を得た人は入社後も高いパフォーマンスを出す可能性が高く、定着する可能性も高い、ということです。

逆もしかりですが、オンライン面接で低い評価だった人は、パフォーマンスが低く辞めてしまう可能性が高いという結果になっています。これは、見極めがオンライン面接でもうまくいっていることの証拠かと思います。

改めて、オンラインの特徴・オンライン化で変わったことを整理します。
対面は「惹きつけ」つまり、「志望度を醸成すること」が得意ですが、非言語的手がかりのバイアスがかかる影響で「見極め」は不得意。

オンラインは、能力発揮感が得られにくいことから、「惹きつけ」はちょっと苦手としているけれども、非言語的手がかりのバイアスが抑制されるので「見極め」が得意。
これが、一つ目のお話「オンラインで変わるもの」についてです。

3.採用における対面の常識・オンラインの非常識

では、2つ目のパート「対面の常識・オンラインの非常識」についてです。
採用面接における対面での常識が、オンラインで非常識になってしまうと言ったケース、これを少しお話したいと思います。
具体的には2つのポイントを紹介いたします。

1.面接の構造化
2.伝達感と伝達度

この2つの観点で、お話を進めていきます。
まずは、面接の構造化についてです。

「面接の構造化」とは、事前に面接の「質問項目」や「評価方法」を設計することを意味します。
マニュアルに落とし込んでいく、これが構造化です。

「面接を構造化すると、見極めの精度が高くなる」ということが、これまでの学術研究で明らかにされています。
面接での質問項目をつくったり、評価方法を事前に定めていると、相手の能力や性格を正しく見極められる可能性が高まる、ということです。この点については、様々な研究で繰り返し検証されています。なので、面接は見極めの精度をグッと高めることができるのです。

「構造化面接は大事です」という話、これまでにも耳にしたことがある方もいらっしゃるかと思います。
ただ、多くの企業で構造化面接をこれまでの対面の状況、コロナ以前の時にもなかなか導入して来なかったというのが実際のところです。
では、なぜ「重要なんだけれども、対面では導入して来なかった」のかを少し考えてみたいと思います。

オンライン面接と対面の面接で、構造化の効果、特に惹きつけの効果を比較する、と言った面白い研究があり、これが参考になります。
その研究によると、オンラインと対面では、「惹きつけへの効果」が逆の影響をもたらすことがわかりました。

オンラインでは、構造化している方が「惹きつけ」に対して効果が高い、つまり志望度が高まります。構造化していないと志望度が高まりにくい、これがオンラインです。
それに対して対面は、構造化していない方が志望度が高まる、という結果になっています。
では、なぜオンラインと対面で逆のことが起こるのだろうか、その理由を説明いたします。

まず、オンラインについて。
オンラインにおいては、先ほども説明した通り、非言語的手がかりが減るのが特徴でした。

言葉以外の情報が減ってしまうと、会話のやりづらさが出てきます。
それを構造化すると、質問の順序が決まり、流れが設計されていることで会話がやりやすくなります。
結果、候補者の能力発揮感が得られやすくなり、志望度に対してプラスの影響が出てきます。
したがって、惹きつけに対して構造化がプラスに影響する、というメカニズムです。

例えば、オンライン会議では、対面の会議と比べて、事前に資料を作る方も増えていますよね。これは、会議を構造化しているわけです。
オンラインは構造化した方がコミュニケーションが取りやすいということです。
つまり、惹きつけに対しても、採用の文脈でも「構造化」がオンラインでは有効なのです。

それに対して対面で構造化をしていると、会話が不自然になってしまいます。
構造化していない状態での対面の面接を思い浮かべてほしいのですが、普通に雑談もできますよね。
それが、構造化することで、話の途中で「はい、次の質問いきます」と、どんどん切られていくと、会話が不自然になってしまうと。
それに対して候補者は「自分がテストされている」という気持ち、ちょっとネガティブな気持ちになることで、結果として、対面での面接を構造化すると「候補者の惹きつけ」にマイナスの影響が出てしまうのです。

まとめると、対面においては構造化しなくても良いが、オンラインでは構造化した方が良い、という傾向があります。
「出たとこ勝負で雑談をしながら話をしよう」と、対面で常識だったことのようにオンライン面接をしてしまうと、惹きつけ・志望度が高まらずに辞退率を上昇させることになってしまいます。
ですので、オンライン面接を行う場合は、「構造化」をおすすめしています。

続きは動画にて、プログラムの後半の「伝達感と伝達度」についてのお話があります。
似ているようでちょっと違う意味を持つ「伝達感と伝達度」は、オンラインと対面のコミュニケーション・採用面接の場面でどのように影響するのでしょうか。また、参加された皆さまからの質疑応答の様子もご覧いただけます。
オンライン採用に関する課題解決にもお役立ていただけるかと思いますので、ご興味がございましたら、申請の上、ご活用ください。

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