会社を変える、SSK。
仕事柄、企業の「らしさ」に興味をもちます。100社100様の「らしさ」を明確にするために、情報収集整理をしたり、インタビューをしたりします。いろんなところにヒントが転がっているわけですが、必ず重視すべきは『社史』です。社史というと大げさなので、『沿革』のほうがイメージに近いかもしれません。
沿革をたどり、気になった点を深掘りしていくと、「ターニングポイント」が見えてきます。この出来事があったから、今があるんだな。この時期が、会社の方向性を左右したタイミングだったんだな。沿革のなかでひときわ色合いが濃くなるとき。それがターニングポイントです。
現在のジャンプはあとから振り返ったとき、間違いなくターニングポイントだと思います。だからこそ、企業のターニングポイントについて整理してみようと思いました。言い方を変えれば、「会社を変えるスイッチとなるのは何なのか。どんな傾向があるのか」を考えてみました。結論、この三つに集約されるのではないかと思います。
【1】新商品・サービス
何かしらの事業を始め、徐々に軌道に乗っていく。しかしその延長線上にターニングポイントがあることは、実は少ないと感じます。事業は「やってみないとわからない」要素が強いなか、初期の事業が必ずしもマーケットニーズやトレンドをとらえているとは限らない。走り出してから感じた肌感覚と蓄積されたノウハウをもとに生み出された「セカンド事業」がターニングポイントとなるケースは、多いと感じます。つまり、既存事業から派生した新商品やサービス。この成功がターニングポイントになった会社が多いですね。
【2】採用の背伸び
二つ目は人材の「採用」です。これも既存の延長線上にある採用ではなく、何かしらの「背伸び」をした場合にターニングポイントとなりえます。具体的には「(中途のみだった企業の)新卒採用」、「(男性中心だった企業の)女性採用」、「(生え抜き文化の企業の)キャリア採用」などなど。要はこれまでいなかった層の人材を採用しようとしたときに、既存の組織のあり方を同時に変革する必要があるということです。組織のあり方に変革が起きたとき、事業の進展にスイッチが入ることが往々にしてあるのだと思います。
【3】危機意識
会社を変えるスイッチの三つ目は、「危機意識」です。危機意識には二種類あると思っていまして、「外発的危機意識」と「内発的危機意識」です。外発的はたとえばリーマンショックに代表される経済環境の変化や、業界構造の変化など。強制的に生まれる危機意識です。一方内発的は経営者や組織の内側から沸きあがるもの。「このままでいいんだろうか?」というもやもやした心理が出発点となり、「変わらなきゃ、変わりたい」というモチベーションがターニングポイントを生み出します。
この「新商品・サービス」、「採用の背伸び」、「危機意識」の頭文字をとると「SSK」になるので語呂もよいかな、と。我々のような企業向けソリューションビジネスをやる人間は「このクライアントのSSKはどこかな?」と探すことは有用だと思いますし、企業経営に携わる人間は「うちのSSKをどう考えるべきか?」という視点で自社をみるとよいかと思います。
増渕知行
代表取締役 クライアントパートナー
理想を追求し続けたら、起業に行きつきました。ジャンプは自分の人生そのものです。ジャンプはクライアントにとって、頼れる同志であり続けたい。社員にとって、燃える場所であり続けたい。約束は守る男です。週末は野球がライフワーク。
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