【イベントレポート】加島 禎二 氏 (株式会社セルム 代表取締役社長)「自ら変化を創出する人と組織づくり」が、今後ますます求められる理由とは?
ジャンプ株式会社は、昨年につづき、24新卒採用に向けたインターンシップ募集が本格スタートする2022年6月1日に、有識者を集めたオンラインイベント『経営×採用STRUCTサミット』を開催いたしました。
経営のための採用、経営に貢献する採用人事というものを、改めて見つめ直す1日にしていただくことで、人事のみなさまにとって、活力や新たなナレッジ習得につなげていただきたい、という思いで開催しているイベントです。
本記事では、株式会社セルム 代表取締役社長 加島 禎二 氏によるプログラム「自ら変化を創出する人と組織づくり」が、今後ますます求められる理由とは?について、講演の様子を一部ご紹介いたします。
今後企業に求められるのは、変化への適応ではなく、理想の姿に向かって自ら変化を創り出すこと。組織人材開発のプロフェッショナルファームである株式会社セルム代表の加島禎二氏は、そう提言します。
企業に試される「パーパス」「持続的企業価値創造シナリオ」「人的資本・組織資本への思い切った投資」。個人に試される「リーダーシップ」「キャリア」「ダイバーシティ」のアップデート。自ら変化を創出する組織文化を作るために、人事が取るべきチャレンジアクションについて、メッセージをいただきました。
尚、イベント当日の動画もご用意しております。詳しいスライドや事例がご覧いただけますので、申請の上、ご活用ください。
1990年にリクルート映像入社。1998年創業間もないセルムに入社し、2010年代表取締役社長に就任。一貫して「理念と戦略に同期した人材開発」を提唱し、20年間に亘って、次期経営リーダーの開発や人材開発体系の構築、グローバル人材育成、理念浸透、組織風土変革などに携わる。
加島氏:株式会社セルムの加島でございます。
これからお話することは、何か理想主義のように聞こえるかもしれませんが、私自身も会社を経営する中で、悩み苦しみながら、そして、いろんな企業の様々な人事組織の課題解決を伴走しておりますが、皆さんも正解がない中で進んでいらっしゃると思います。そのような中で、「自ら変化を創出する人と組織づくり」が、今後ますます求められる理由について、思うことを述べさせていただきます。
●変化適応から“変化創出”へ
皆さんご承知の通り、世の中は成長社会から成熟社会に完全に切り替わっています。しかし、まだそのパラダイムを引きずった中で、日本的経営がされている面もあり、そのパラダイムを持っている人がまだまだ意思決定層にいらっしゃることも、事実だと思っています。
そのような点で、今はちょうど端境期にあって、このパラダイムをぐっと変えていく、というところにいるのかなと思っています。
●競争のパラダイムから、創造のパラダイムへ
環境が変化する中で、その環境を自分たちのチャンスとして捉えようとする人たちがでてくると、競争が起き、そして勝ち負けがでてきます。
そうすると、なるべく勝ちたくなるので、自ずと体力勝負になります。結果、全体としてはすごく疲弊していくけど、すごく儲かっている会社が1~2社出てくる、というのが「競争のパラダイム」です。
競争を通じた進化も当然あり、全く否定するわけではないですが、あまりにも市場のパイの奪い合いだけをしていると、どうしても疲れてしまいます。
なので、今後は、「創造のパラダイム」へと変化をしていかなければならないのですが、「創造のパラダイム」というのは、社会をどう良くしていきたいか、という自らの存在理由を突き詰めることからスタートします。
そして、理想を持ち、理想に近づくために何かを創造する、その創造が結果として価値があるものであれば、そこに市場が生まれ、さらなる進化が始まります。
この過程で得られるものは、「尽きない好奇心」だと、私は呼んでいます。 何かを生み出し、そこに参加者が集まることでもっともっと進化する、そこから生まれるものは、やはり好奇心なのかなと。
好奇心で進んでいる間は、全然疲れないですよね。だからこそ「創造のパラダイム」に向かって、変化を作り出すことが、非常に大事になってくると考えています。
●変化適応ではなく、変化創出
よく経営者がダーウィンの進化論を例に、「世の中の変化に適応しなかった種は滅びるんだ」という話をします。しかし、考えてみれば、世の中の変化が起きた時に適応しようと思うと、その時点で既にもう後追いになっているわけです。
そうすると、スピード勝負になり、やはり勝ち組と負け組がはっきりとしてしまいます。もし変化にも適応できない場合は、会社や組織の「再生」という状況にまで追い込んでしまうことになります。
ターンアラウンドやチェンジマネジメントというのは、言葉はとしてはかっこいいですが、実は自分たちで変化を作ることができなかった、創造に向かうことができなかった結果である、ともいえるのではないかと思っています。
なので、自分たちの中から変化を生み出すことこそが、最大の変化適応なのです。自分たちの内側からどんどんやりたいことが出てくる状態、自分たちがやりたいことを続けていたら、後から考えると、それが自分たちのビジネスモデルやポジショニングの変化になっていた、というようなことが、本当の意味での質的変容(トランスフォーメーション)なのだと考えています。
ただ、変化を嫌う人、変化を好まない人が多いのも事実です。
ビジネスは常に変化を求めますが、「人と組織」においては、常に安定を求める傾向にあります。このギャップは、おそらく永遠に埋まることはないので、対応しなければいけない「ギャップ」として捉えるのではなく、「変化は自ら創出するものだ」と捉え直していく必要があると思っています。
~中略~
(相模屋測量株式会社さま・ネスレ日本さま・参天製薬さまの変化創出事例について、動画にて解説をご覧いただけます。)
各社の事例からも読みとれるように、何か外部の要素で「変わらなきゃいけないから変わる」のではなく、自分たちがやるべきことを突き詰め、夢中になって取り組んでいるうちに、それが外から見たら変化に見える、ということがすごく大事なのかなと思っています。
●企業に問われるもの
次に、企業に問われるものと個人に問われるものについて、お話を進めていきます。
企業に問われる一番大事なものは、やはり「世界観」です。今日の名和さんの講演にもあったかもしれませんが、「もっとこうしたら、世界はより良くなるよね」という、自社なりに到達した真理や信念が「パーパス」だと思います。
自社の存在を通して世の中がどう良くなるのかというストーリーがあり、その上で、持続的な企業価値の向上ストーリーがあります。
このストーリーとパーパスがあって初めて、人的資本や組織資本をどのように開発していくか、という人事機能があります。私は、これを「P:パーパス」「S:ストーリー」「I:開発投資(インベストメント)」から、「PSIピラミッド」と呼んでいます。
人事のみなさんが人や組織など無形資産に対する投資をリードするとなれば、当然のことながら、ピラミッドの上2つの部分が問われるわけです。ここを作っていかないと、会社としては、人への投資が増えない、または増えたとしても長期的につながっていかないと思っています。
~中略~
(動画にて、DBS銀行・ソニーグループのPSIピラミッド事例についての解説をご覧いただけます。)
●個人に求められるアップデート
企業は変化していきますが、個人は「安定」を求めてしまう傾向にあります。
なので、個人に求められるアップデートも、とても重要だと考えています。
アップデートに必要な観点は、「リーダーシップ」「ダイバーシティ」「キャリア」の3つだと思っています。この3つをアップデートする手法について、お話をさせていただきます。
まず、4つのステージからなる「理念型リーダーシップ」について、お話をします。
リーダーシップは、リーダーであることとは全然違って、その人の内なるもの・信じているものから他者に影響力を与えること、これがリーダーシップだと思います。特に、人を引っ張るための狭い意味でのリーダーシップではなく、「世の中をどうしたいか」という理念に基づいたリーダーシップが、今必要になっているのかなと感じています。
リーダーシップというと、「人々をリードする」というイメージが浮かびやすいですが、実は、人々をリードした先には、「社会をリードする」というのが当然あるわけですし、その前には、まず自分自身が夢中になって、何かの目的地に自分をリードさせるという必要があります。
そうすると、自ずと、自身が向き合っているビジネスに変化が生まれ、新しい価値が生まれ、ビジネスをリードすることになります。そして、そこにたくさんの人たちが集まることで、人々をリードする、というステージにつながります。なので、「自分をリードする」「ビジネスをリードする」、この2段階がないと、「人々をリードする」ことは、たぶんできません。人間的な魅力だけで引っ張っていける人もいるかもしれませんが、それはあまりサスティナブルではないなと、私は思います。
理念型リーダーシップには、世界観(世界はもっとこうあってほしいという意志・Will)がとても大事です。企業理念と自分自身のWillの掛け算に、多くの共感や他社の追随がうまれることで、人や社会に大きな影響を与える、この流れが理念型リーダーシップといえるかなと思います。
~中略~
(各ステージにおける原理・原則や、リクルートホールディングス・出木場氏のリーダーシップ事例について、動画にて解説をご覧いただけます。)
●さいごに
本記事でお届けする開催レポートは、以上です。
以降の講演では、キャリアのアップデート手法(自身の仕事の捉え方、キャリア観)やダイバーシティのアップデート手法(自分の中に多様性を持つには?)、人事が取り組むべきアクションについて、解説をしていただきました。
ご興味がございましたら講演動画を申請の上、ご活用頂けましたら幸いです。
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