STRUCT REPORT
採用コラム

【イベントレポート】増渕 知行(ジャンプ株式会社 代表取締役)「15人の戦略人事にインタビューしてわかった、イケてる人事の共通項」

ジャンプ株式会社は、昨年につづき、24新卒採用に向けたインターンシップ募集が本格スタートする2022年6月1日に、有識者を集めたオンラインイベント『経営×採用STRUCTサミット』を開催いたしました。

経営のための採用、経営に貢献する採用人事というものを、改めて見つめ直す1日にしていただくことで、人事のみなさまにとって、活力や新たなナレッジ習得につなげていただきたい、という思いで開催しているイベントです。

本記事では、弊社代表増渕によるプログラム『15人の戦略人事にインタビューしてわかった、イケてる人事の共通項』について、講演の様子を一部ご紹介いたします。

2020年から開始した、戦略人事として活躍する方々へのインタビュー企画「V字回復の採用戦略」。サイバーエージェントの曽山氏からはじまり、ソフトバンクの源田氏、メルカリの木下氏など、日本を代表するHRパーソンのメッセージが15名まで集まってきました。このインタビューをつうじて気がついた、活躍する人事の共通項があります。この内容を共有することは、さらに経営・事業に貢献し活躍する人事を増やす一助になると考え、ジャンプ代表の増渕が、詳しく解説いたします。

尚、イベント当日の動画もご用意しております。ぜひ申請の上、ご活用ください。

2008年、ジャンプ株式会社を設立。20年以上の採用コンサル経験をもとに、事業を伸ばす採用戦略フレームワーク「STRUCT」を開発。採用戦略オープン講座「STRUCT ACADEMY」を立ち上げ、主宰として指導にあたる。

登壇者:増渕 知行
ジャンプ株式会社 代表取締役

●「V字回復の採用戦略」について

ジャンプ株式会社の代表との増渕と申します。よろしくお願いいたします。
ご存知の方も一部いらっしゃるかと思いますが、我々ジャンプ株式会社のホームページ上に「STRUCT REPORT」というオウンドメディアがありまして、その中の一つのコンテンツとして「V字回復の採用戦略」というインタビュー記事を不定期で発信しております。

これは、人事として活躍している方にインタビューをして、事業や組織のV字回復のように、苦しい時期をどう乗り越えたのか、一例ではありますが、企業の重要な局面で活躍されたご経験をお話していただいています。加えて、その方のキャリアがどのように形成されていったのかをさかのぼることで、人事のみなさんの仕事・キャリア形成に少しでも参考になるとうれしいなという思いで続けている企画です。

ご登場いただいた方は延べ15人になりまして、私自身も非常に学びの多い企画です。現在の社名以外も含めると、写真のような日本を代表する企業で人事の経験を積んでこられた方にインタビューをしながら、何か傾向がありそうな気がしてきました。
加えて私自身が1996年からお手伝いしてきた企業数を考えると、1000人以上の人事とは何らかしら関わってきたのかなと思っていまして、その感覚値も含めると、人事のみなさまに参考にしていただけるようなお話ができるかもしれないと思って、今回の企画に至りました。

●攻めの人事・守りの人事

ここから、いよいよ本題に入りたいと思います。
人事には、「攻めの人事」「守りの人事」の二つのミッションがあると思いますが、攻めの人事のミッション、一番は「採用」で、「育成」も攻めよりですね。守りの人事には「評価」とか「労務」ですね。

この「攻め」と「守り」ですが、労務は法律に則ってミスなきよう粛々と遂行するというのがベースになります。ゼロとは言わないものの、特に外と競い合う必要も、差別化する必要もないわけです。
逆に「採用」は、完全にマーケットです。他社と競い合いながら差別化をする必要があり、だからこそ「攻め」というのもありますし、とことんオリジナリティを追求しないといけないわけです。なので、オリジナリティを追求してはいけない「労務」と、オリジナリティを追求しないといけない「採用」は真逆ですよね。
「育成」と「採用」では、なぜ「採用」の方が攻めかというと、「育成」は自社の中で完結するので、他社と似たようなことをしても、特にマイナス点はないわけです。
しかしながら、「採用」で他社と似たようなことをすると、差別化が利かなくなるので自滅します。
育成は、多少他社と似たようなことをしても大きな価値毀損にはならないので、「採用」よりも若干守りの部分もあるし、「評価」については、きちんと法務に則るという合理的なものもありますが、ここにはオリジナリティを出す余地もありますね。オリジナリティのある「評価制度」が、「採用」や「育成」にもつながることもあるので、図のような位置づけにしています。

いろいろな仕事やスポーツもそうでしょうが、それぞれに特徴や強みがある中で、「攻めの人事」「守りの人事」にも向き不向きがあるなと、感じています。もちろん、どちらが良い・悪いという話ではないです。
それと、「守りの人事」は、経験を積み重ねるとエラーが減っていく部分はありますよね。 「攻めの人事」は、意外と経験値が物を言わない。逆に、「採用の実務経験ゼロです」っていうパッショナブルな若い子の方がうまくいくようなこともあるわけです。これも面白いところですね。なので、向き不向きだけでなく、やはり求められるものが違うんだなというのは、皆さんも肌で感じているところなのかなと思います。

●人事の役割

『MBAの人材戦略』で著名なデイビット・ウルリッチ教授の提唱による「人事の役割」を定義したフレームがあります。人事の役割は、図のような4象限で整理できますというものですが、ご存知の方もいらっしゃるかと思います。

・未来×論理は、ビジネスの成果に貢献する「戦略実現パートナー」
・未来×感情は、組織・風土変革実行を中心的に行う「組織変革エージェント」
・日常×論理は、人事管理を精密に行う「人材管理のエキスパート」
・日常×感情は、従業員代表としてその声を経営に届ける「従業員のチャンピオン」

このような役割を定義しています。

HR総研さんの調査によると、「現在、人事部門に求められている役割」では、「戦略実現パートナー」が39%、「人材管理のエキスパート」が38%に対して、「今後、人事部門に求められる役割」という調査では、「戦略実現パートナー」が非常に増えて55%、次いで「組織変革エージェント」が29%でした。みなさんが想像されていた結果とも近いかもしれませんが、やはり、人事はビジネス戦略パートナーになっていくべき、と期待されているのかなと思います。

ですので、現在求められているものは、4象限の左側・論理寄りなのに対して、将来より求められるものは、「戦略実現パートナー」であり「組織改革エージェント」ということで、4象限の上側、つまり未来志向の人事なのかなと受け止めています。

イケてる人事の共通項

実はインタビューをしている15名の方々は、この4象限の上側(戦略実現パートナー・組織改革エージェント)への思いや実績が豊富な方が多かったように思います。未来志向で、より攻めの人事をされている印象でした。
そのような方々は、どんなキャリアを歩んできたのか、というところ、ご興味のある方も多いかなと思いましたので、カウントしてみました。

4象限って本当はスカスカのエリアがあってはいけないんですけど…(笑)
今、インタビューしている方々でいうと、最初人事で、その後に別の職種を経験して、また人事に戻ってきた方は1名、人事ひとすじの方は2名。最も多かったのが、最初は人事以外の仕事をしていて、途中から異動や希望を出して、人事職に就いている方、12名でした。
全体傾向としての比較はできないのですが、人事以外の仕事も経験している方が明確に多かったわけです。では、その「??」に入るのがどんな職種・領域なのかというと、営業職が8名で最も多いですね。

インタビューをしていると、自身のキャリアについて、「敢えて現場の経験を積まないとダメだと思った」とか、「現場の経験を積んだことが今に活きている」とおっしゃっていた方が多かったなと思います。
インタビューを引用させていただきますと、例えば、サイバーエージェントの曽山さんは、『私は、人事の役割を「コミュニケーション・エンジン」と位置づけています。経営と現場の間に立ち、対話のエンジンになるのが人事の役割だ』とおっしゃっています。まさに、コミュニケーション力を鍛えることができる営業職のご経験が活きていて、キャリアとしての連鎖性とか親和性も高いのかなと感じたポイントの一つでした。

カルビーのCHROをされている武田さんは、『人事って、ものすごく泥臭い仕事だと思っています。キックオフイベントを作った時も、いろんな方々を口説いていって、社長の周りや社内の優秀な方々に大勢参加してもらえることになって、最後に、「みなさん集まるので、ぜひ来てください」とようやく社長を口説くことに成功したんです』とおっしゃっていました。これも非常に営業的な動きだなと思います。
もちろん全員共通ではないのですが、「営業経験者の人事」というところから導き出した、私の考える共通項があります。

1.縦横無尽に対話を仕掛けに行っている。
2.感覚だけでなく、ファクトを重視している。
3.社内向けのビジョンワードを開発している。

※講演動画では、V字回復のインタビュー記事をもとに、人事の方々の実践例なども解説しています。

15人の方々へのインタビューや、それ以外にもたくさんの人事と方々と一緒にお仕事をさせていただいて、活躍している人事の方々に共通する3つの項目は、アクションの順番にもパターンがあるなと思っています。
具体的には、まず、縦横無尽に対話を仕掛けに行きながら、ファクトをちゃんと拾っているんですよね。そして、ファクトを基に対話をするという循環です。それをやりながら、社内向けのビジョンワードを開発し、経営陣を動かしたり現場を動かしたりしている、ということです。ビジョンワードも開発するだけでなく、それを機能させるように、経営陣や現場に対話を仕掛けに行っている。この順番はすごく重要だなと思っています。

対話とファクトの循環から、ビジョンワードの開発浸透と継続という、この動きをしている方がとても多いですし、これを繰り返していくと、組織が活性化して企業としての魅力・エンゲージメントも高まります。これは当然ですが、採用活動においても価値が発揮されてくるわけです。

●さいごに

本記事でお届けする開催レポートは、以上です。
以降、人事としてのキャリア形成パターン、「幅の広げ方」についての講演が続きます。ご興味がございましたら講演動画を申請の上、ご活用頂けましたら幸いです。

ジャンプ株式会社
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