【AI時代の採用戦略】専門家が教える人事が見直すべきポイント
ショートセミナー「マンスリー採用ウォッチ」は、採用活動におけるポイントを30分で解説するオンラインセミナーです。毎月公開される最新市場データを、弊社代表取締役YouTuberの増渕が読み解きます。
今月は、「入社後の定着率は何と相関しているのか?」を中心に解説します。今後の採用活動だけでなく、採用後の活躍・定着を考える上でも重要かつ貴重なデータをご紹介します。
引き続き、できる限りリアルタイムに近い「旬」のデータをお届けしておりますので、是非ご視聴ください。本記事では、セミナー内容をまとめています。
まずは、毎年実施されているマイナビさんの「入社半年後調査」をご紹介します。
採用担当のみなさまにとっては当然のことだと思いますが、採用活動は採ることが目的ではなく、採用した学生が入社後に定着・活躍することが目的です。この調査は、入社後の定着・活躍を考えた際に、「何が因果関係になっているのか」を考えるヒントになるデータです。

【図1】をご覧いただくと、「就活時入社予定先」つまり「入社前」の段階では、24年卒学生の満足度が89.6%に対して、25年卒学生は91.2%で1.6pt上昇しています。
一方で、「現在勤務先」つまり「入社後」の段階では、24年卒学生の満足度が84.0%に対して、25年卒学生は78.0%となり、6.0pt減少しています。
同調査の考察では、25年卒学生は就活時の満足度が9割以上と前年よりも高かった反面、入社後のリアリティショックによって満足度が下降した人が多く、入社半年後の満足度も低下したのではないか、という結果が出ています。
採用活動において学生を「惹きつける」ことは、学生に「選ばれる会社」になるために最重要ではありますが、過剰な惹きつけはミスマッチの源泉になりやすいといえます。そのため、リアリティショックを最小化して、入社後のミスマッチを減らすことの重要性が高まっていることの表れでもあると思います。
同調査では、入社半年後の勤務先の満足度が高いグループと低いグループで、どのような特徴があるかを分析しています。調査によると、入社後の満足度が高いグループにおける「就活時に入社したいと思ったタイミング」は、「インターンシップ・仕事体験参加時」が35.5%で最多でした。続いて、「1次面接~最終前面接受験時」も上位でした。
一方で、入社後の満足度が低いグループにおける、「就活時に入社したいと思ったタイミング」は、「1次面接~最終前面接受験時」ほか、「他社の選考結果が出た時」、「内々定告知時」、「内々定者向けイベント」など、選考プロセスの中盤~後半に入社意思が高まっていた傾向がわかりました。
このデータから読み解けることの一つに、選考プロセスの後半で入社意思を固めている(入社後の満足度が低いグループに属する)学生は、本来第一希望だった企業には落ちてしまい、第二希望以下の比較検討の中で選んでいるだろう、ということです。その点では、当初から入りたかった会社のインターンシップ・仕事体験で惹きつけられ、内定を獲得できた学生の満足度が入社後も高いことは、必然でもあります。
とはいえ、やはりインターンシップや仕事体験での惹きつけの重要性は、入社後の満足度を高めるためには重要であると捉えられます。
続いて、関連するデータをいくつかご紹介します。

【図4】をご覧いただくと、「現在の勤務先のインターンシップ・仕事体験の参加有無」について、参加した割合が年々上昇しています。つまり、インターンシップ・仕事体験に参加した企業へ入社する学生が増えているため、やはり採用活動におけるインターンシップ・仕事体験の重要性の高まりはこのデータからも読み取れます。
また、【図5】を見ていただくと、インターンシップ・仕事体験に参加した学生を採用する方が、現在の勤務先への満足度が高くなりやすいと考えられます。

また、入社後の満足度はインターンシップ・仕事体験の参加日数にも相関している点も注目すべきポイントです【図6】。インターンシップに不参加や1日に対して、2~4日間または5日間以上のインターンシップ・仕事体験に参加している学生の方が、現在の勤務先の満足度が高い傾向にあります。
参加形式についても、オンラインよりも対面でのインターンシップに参加した学生の方が、入社後の満足度も高いという結果が出ています。
5日間以上の期間で選考直結型のインターンシップを実施した場合、参加する学生の意欲や真剣さも高いため、それを踏まえた上で入社する学生はマッチングの精度も高いという点は、今後の採用活動においても仮説として持っておいてよいポイントだと思います。
同調査において、入社後の満足度が高い層と低い層につき、「労働条件、職場環境の満足度」「能力を活かせるか」「社員の印象と帰属感」「経営者の印象」「将来のキャリア展望」「比較検討」の6項目で比較した結果、特に強い相関性が見られた要素が「社員の印象と帰属感」、「将来のキャリア展望」でした。

この2点につき、より深掘りした調査結果をまとめると、新卒採用者が「この会社に入って良かった」と感じ、定着するために必要な要素は以下のようになりました。
データによると、入社後の満足度が高い層ほど、同僚や上司と「仕事以外の些細なことでも話ができる」という傾向が顕著でした。満足度の高い層からの回答に基づく考察は、以下の通りです。
入社後の満足度を高めるもう一つの決定的要因は、その会社で自分の将来をイメージできるかどうか、つまり「キャリア展望」の描きやすさです。
入社後の満足度が高い層ほど、現在の勤務先に対してキャリアプラン実現のための制度・環境(学習支援制度や評価・昇進制度など)が整っていると回答していることがわかりました。
やはり、人材育成の仕組みが整っている会社の方が、キャリアプラン実現の環境が整っている(将来のキャリア展望が実現できそう)と捉えられ、入社後の満足度が高まっています。職場の人間関係やコミュニケーションも大事ですが、人材育成の仕組みの多様化も重要な項目となりそうです。
◎YouTube「マンスリー採用ウォッチ1月」では、同調査(マイナビ:2025年卒 入社半年後調査)より、「入社後のギャップ」、「24年卒・25年卒の転職意向」なども紹介しています。ぜひ動画も併せてご覧ください。
ここからは、27卒採用に関するマイナビさんの調査データをご紹介します。学生の価値観の傾向把握や、採用活動のヒントになるポイントを解説します。

先ほどの職場でのコミュニケーションに関する調査とも関連しますが、「理想の上司」について、「積極的に話しかけてくれる」、「手取り足取り教えてくれる」、「具体的な指示をしてくれる」、「フラットな上下関係」を望む回答が多い結果となっています。今の学生が求める理想の上司は、かつての「背中を見て学べ」というスタイルではなく、より具体的で手厚いサポートであることがわかります。
採用ウォッチ12月でも、Z世代とゆとり世代の就活生の違いについて、リクルートマネジメントソリューションズさんとリンクアンドモチベーションさんの調査データを基に、昨今の学生には「とりあえずやってみる」ではなく、「なぜこの業務が必要なのか」という理由とセットでの説明、「なぜやるか」の納得感の重要性をお話しました。そのような傾向からも、現在の学生が求める「理想の上司像」が読み取れるかと思います。
【関連記事】マンスリー採用ウォッチ12月:Z世代とゆとり世代の就活生の違いは?
昨年の採用ウォッチでも低学年向けのキャリア教育の重要度についてお伝えしていましたが、マイナビさんの調査データからも、28卒向けのキャリア形成支援活動だけでなく、大学生低学年(大学1~2年生)や、高校生・中学生・小学生向けのキャリア教育への取り組みが増えていることがわかりました。

高校生・中学生・小学生向けのキャリア教育について、「現時点ですでに実施している」と回答した企業の割合は、高校生向けでは20.6%、中学生向けでは13.5%、小学生向けでは7.0%との結果が出ています。

このような低学年向けキャリア形成支援活動の一番の目的は、自社や業界の魅力を早い段階で学生に知ってもらう、認知度を上げるという「早期ブランディング」です。レッドオーシャンとなる大学3年生よりも前の段階でアプローチをかける動きは、今後も大きなトレンドになり得ると考えられます。
具体的な取り組み内容の例を、業種別にいくつかご紹介します。
●ソフトウェア・通信:中高生を対象に、生成AIなどを用いたwebサイト作成
●建設:小中学生向けのキャリア教育教材への掲載、高校生のフィールドスタディ受入れ、キャリア授業への参加
●金融:学校から依頼されたセミナーや金融教育を実施
●製造(建設を除く):工場見学の実施
●商社:高校生や中学生への職業体験、小学生や保育園を対象とした会社訪問、社会科見学の積極的な受け入れ
●サービス・インフラ:県からの案内で職学生向けの夏休み職業体験講座
共通する特徴として、学校や自治体と連携した「受け入れ」が多く見られます。そのため、企業側からアプローチを仕掛ける動きはブルーオーシャンだと思いますので、今後はキャリア教育プログラムの「受け入れ」だけでなく「積極的な提供」も採用強化の取り組みの一環として、検討してもよいのではないでしょうか。
◎YouTube「マンスリー採用ウォッチ1月」では、Re就活キャンパスさんの「2027年卒 内々定率調査:2026年1月度」や、株式会社サーティファイさんによるWeb面接に関する調査(面接中にAIをリアルタイムで参照しながらの回答が増加傾向)、マイナビさんの転職動向調査(男女別では30~50代の転職率が増加)などもご紹介しています。今後の採用活動の参考に、動画も併せてご覧ください。
以上、今月のマーケットデータでした。今後の採用活動だけでなく、採用後の定着・活躍に向けた現場・経営陣との情報共有という点でもお役立ていただけましたら幸いです。
動画は、以下よりご覧いただけます。来月以降のご視聴もお待ちしております!
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