STRUCT REPORT
採用コラム

システム思考という変化へのアプローチ

安井省人

ロジカル思考やデザイン思考などさまざまな思考法が出てくる中、最近目にするようになったもののひとつに「システム思考」という方法論があります。ご存知でしょうか?この理論そのものは1940年頃に発表されているものですが、SDGsの高まりや社会課題解決へのアプローチのひとつとして、あらためて注目を集めているように思います。今回はその一部をご紹介します。

組織は因果でつながっていることを見極める。

システムというとプログラミングで作られたコンピュータの仕組みのことを思い浮かべる人も多いと
思いますが、今回お話するシステムとは、相互に作用する複数の「要素」が組み合わさることで、要素同士がお互いに影響しあう状況すべてを言います。たとえば、「家庭」は人(家族)という要素が相互に作用することで成り立っているという意味でシステムですし、「職場」は社員や役員という人やファシリティやオフィスといった物の要素が相互に因果関係を持つシステムです。システム思考とは、あらゆる事象をシステム、つまり様々な要素の相互作用と因果関係を持っていると捉えて、真の問題や課題を明確にすることで解決策を探る手法です。

私たちが直面している「組織」という課題についても「システムで捉える」ことができます。組織をとりまくシステムは、さまざまな要素がつながって、複雑に絡み合い、常に変化しています。Aさんの適材適所を考え仕事の配分や役割を変化させると、その結果それまでその仕事をしていたBさんの効率が下がり、一人増やしたはずなのに生産性は下がり、一見するとみんながんばっているように見えるのに、成果はあがらない。そういうことってありませんか? 事業展開や人材配置など変化を起こそうとすると、しばしば予期せぬ結果や抵抗が起こります。では、そのようなシステムの中で、どのようにすれば望ましい変化を起こせるのでしょうか? システム思考は、まさにその問いに答えるためのものさしです。システム思考を手に入れるメリットは、世の中のものごとを見る新しい視点や視野・視座が得られることです。状況や問題の全体像をつかみ、バランスのとれた問題解決を導く手がかりとなります。

因果を紐解くクセを身につけよう。

システム思考にはいくつかの思考ツールが存在します。その一例として、最もメジャーな「ループ図」をご紹介します。

無題1
こういった因果関係によって引き起こされる相互作用はよくありますよね。これがもちろん下記のように逆転現象を引き起こすこともあります。

無題2
そしてこのことは実はひとつの因果関係だけで成立しているのではないこともあります。

無題3

これらの因果関係を明らかにして、状況の全体像を把握することができれば課題の解決に何が有効かを検討する材料にすることができます。たとえば新車販売市場に中古車市場が登場すると、新車買い換えローンによって、新車買い換え需要を取り込むようにローンキャンペーンを大掛かりに実施するというような判断が発生します。すると、新車販売を促進することによって、市場に優良な中古車が出回ることになり、中古車市場が盛り上がり、結果として新車販売市場がより厳しくなるといったことが、因果によって起こります。
こういった因果関係を上記のようなループ図によって描き起こすことで可視化して、打ち手の判断材料にするのです。

組織の課題、社会の課題は一つの課題に対して一つの直線的な打ち手のみで解決できるほど簡単ではありません。複合するこれらの因果を解き明かすことができれば、事象に効果的な変化を導くことができるでしょう。
単純に見える課題が実は複雑な事象の重なり合いで起こっていたり、逆に複雑に見える事象の数々が一つのシンプルな解決によって全体最適を導くこともあります。みなさんの職場や組織はどうでしょうか?ぜひ一度目の前の事象を解き明かしてみてください。

安井省人
取締役 クリエイティブディレクター

組織活性につながるクリエイティブとは何か?問題の本質は何か?を追求する毎日。近道でも回り道でもゴールに繋がるプロセスを大切に、現実にも夢にも向き合いたいと思っています。二地域居住の週末田舎暮らしやってます。


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