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インターンシップノウハウ

オンラインインターンシップ・オンライン説明会のプログラム企画&制作のポイント【事例あり】

小緑直樹
オンラインインターンシップ企画のポイント

この1年で採用の主戦場は、オンラインになりました。
オンラインになっても、変わらず企業に求められる力があります。
それは、学生に自社のファンになってもらう【惹きつける力】です。

リアルで場が開けない、もしくは、制限される今、オンラインインターンや説明会による、自社への惹きつけの重要性が、より高まっています。オンラインでのインターンシップや説明会は、企業も学生も手軽に開催・参加できる反面、表面的なコミュニケーションになりがちです。
他社との差別化もしづらく、惹きつけの難易度は、リアルのセミナーよりも高いと言えます。

「オンラインで、いかにして自社理解を深めてもらうのか?」
「オンラインで、いかにして自社へ興味関心をもってもらうのか?」

そんな問いに、向き合い、試行錯誤を続けている方も多いのではないでしょうか。
弊社でもお客様と多くの挑戦をしてきました。その挑戦を通して、手ごたえを感じている、オンラインインターンシップや説明会の企画・制作のポイントをまとめていきたいと思います。

◎オンラインインターンシップ・オンライン説明会の企画&設計のポイント

オンラインで学生を惹きつけるためには、【オンライン環境を前提】とした、【コンテンツの再設計】が必要になります。
オンラインインターンや説明会を実施する際、これまでリアルで行っていたコンテンツをオンラインにするという発想で企画制作すると、「オンラインだと、これができない、あれができない」と障壁や限界ばかりが気になってしまいます。
リアルに最適化された従来のコンテンツをオンラインという異なる環境・前提で行うと、無理が生じるのは当然の結果です。

なので、まずは、「オンラインという前提」を直視する必要があります。
その前提は、オンラインイベントに参加している学生が感じる「不」に着目することが重要です。
その「不」は、大きく3つあります。

1)「つながりを感じにくい」(物理的な距離が離れているため、人と人とのつながりを感じにくい)
2)「気が散りやすい」(同じ空間に誰もいない環境であるため、他に意識が飛んだり、集中力が切れやすい)
3)「記憶に残りにくい」(体感値が伴わないため、忘れやすいor他の記憶に上書きされやすい)

オンラインインターンシップの企画設計の肝要は、この3つの「不」を解消にあります。つまり、

・「つながりを感じにくい」を解消させるための 【一体感】が生まれる工夫
・「気が散りやすい」を解消するためにの 【没入感】が生まれる工夫
・「記憶に残りにくい」を解消するための【特別感】が生まれる工夫

これら、工夫の積み上げの総量が、オンラインインターン・説明会の満足度に直結するのです。

リアルのイベントでは、場の高揚感なども手伝い、意識しなくても、「没入感」「一体感」「特別感」が生まれていたかもしれません。しかし、オンラインでは、意図して「没入感」「一体感」「特別感」を作っていかないと、自然には生まれません。

そのような前提に立ち、弊社では、お客様と「没入感」「一体感」「特別感」を生むインターンシップを企画・設計してきました。その中でも効果的だったものをいくつか抜粋して、ご紹介いたします。

◎オンラインインターンシップ・オンライン説明会で【一体感】が生まれる工夫

「つながりを感じにくい」を解消させるための、 【一体感】が生まれる3つの工夫を紹介します。

➀グランドルール策定し、繰り返し伝える

グランドルールとは、インターンや説明会に参加する際に、「参加者全員にお願いしたいルール」のことです。
そのルールを理解してもらうことで、スムーズな進行や、場の共通認識が生まれ、一体感を強めることができます。例えば、以下のようなグランドルールをあらかじめ決めて、伝えます。

これらグランドルールから生まれる、相手を尊重する姿勢、主体的な参加や、参加者同士のリアクションや表情は、安全&安心の場の土壌となっていきます。プログラムの中で、何度か伝えることで、場に浸透し、一体感が生まれます。

運営としては、そのグランドルール一つ一つが、なぜ大切なのか、このグランドルールを徹底して、オンラインでも良い場を作っていきたいという想いを伝えられると、より場が引き締まります。

②チャットを使った双方向性

参加者である学生がインターンシップや説明会をより良い場にするべく、能動的に参加してもらうことで、場の一体感は増します。画面越しのオンラインイベントでも能動的に参加してもらうポイントは、チャットの利用促進と拾い上げによる、双方向性です。

オンラインイベントは、参加者全員が第一列に座っていて、チャットを通して、いつでも自分の意見や質問をぶつけやすいという特徴があります。双方感が生まれるようなライブ感あるイベントになると、一体感は強まります。ただ、「チャットをたくさん使いましょう」という声掛けだけでは、チャットはほとんど利用されずに終わってしまいます。

▶序盤でチャットに投稿しやすいテーマで練習してもらう
▶「ここまでの感想をチャットに投稿してみましょう」という正誤のない内容で、チャットのきっかけを提供する
▶投稿されたチャットを積極的に拾い上げ、チャットが歓迎される雰囲気を醸成する
▶チャットから、さらなる情報提供を行い、チャットをするメリットを感じてもらう

などなど、さまざまな工夫をしながら、双方向でプログラムを創っている空気感ができあがると、どんどんチャットが盛り上がります。
参加学生同士、チャットを通して一緒にプログラムを受けているということを感じながら、イベントに臨むことができ、強い一体感が生まれます。

③学生同士のコミュニケーションのきっかけづくり

参加学生同士のコミュニケーションが盛り上がるほど、一体感は増します。しかし、物理的な距離が離れていて、空気感が読みにくいオンライン環境では、誰から話し始めるのか、場を進めるのか、を巡って、居心地の悪い時間が経ってしまうことがしばしばあります。

そこで、運営側が、話はじめのきっかけを作ってあげると、スムーズに話し合いがスタートします。
例えば、「苗字のあいうえお順」や「今日から誕生日が近い人から」や「出身地北から南順」など。特に、誕生日や出身地は、思わぬ共通点などが生まれたりし、距離感もグッと近くなります。
その他も、ブレイクアウトルームに分かれ、チームごとに、正解やきれいな回答を一切必要としない、感想などをおしゃべり感覚で話し合う場からスタートさせるのもおすすめです。

また、休憩時間を単純に何もしない10分にするのではなく、「私のおすすめ」などの会話のきっかけとなるテーマだけ伝えて、おやつや飲み物を持ち合いながら、休憩時間を過ごしてもらうと、学生同士のチームの雰囲気が温まります。

以上、一体感が生まれる工夫として、

➀グランドルール策定し、繰り返し伝える
②チャットを使った双方向性
③学生同士のコミュニケーションのきっかけづくり

について、まとめました。
共通する大切なことは『いかにプログラムを創る側になってもらうか』という点です。そのための、安心安全な場づくり、参加姿勢、具体的な行動のお願いなどを丁寧に作っていけるかどうかがカギになります。

◎オンラインインターンシップ・オンライン説明会で【没入感】が生まれる工夫

「気が散りやすい」を解消するための、 【没入感】が生まれる3つの工夫を紹介します。

➀安全・安心を妨げる4つの不安の消去

どんな参加者でも、インターンや説明会へ何かしらの不安を抱えています。
どんな場になるのか?どんな参加者がいるのか?失敗しないだろうか?時間内で終わるのか?などなど。
そんな不安が先だってしまうと、イベントに集中できません。心理的&物理的な距離があるオンラインであれば、なおさらです。
なので、参加者が持ちやすい不安を4つ(A~D)に分類し、その不安を払拭する働きかけをすることで、より強い没入感をつくることができます。

A)「目的」への不安:なんのための「場」なのかという、不安を感じている
目的が見えない参加者は不安が先走り、目の前のプログラムに入り込めません。
オンラインは特に、プログラム中に迷子になってしまう参加者が多くなりがちです。全体を貫く目的と各プログラムの意図を確実に伝え、各プログラムの位置づけや取り組むことが明確な状態で進行することが肝要です。

B)「人」への不安:参加者は誰なのかという、不安を感じている
特にオンラインで顕著ですが、グループでワークをする際に、チームメンバーと打ち解けないまま進めると、空気を読み合うぎくしゃくしたものになり、結果として満足度が高まりません。参加者間の自己開示を兼ねたフランクな雰囲気での自己紹介を早いタイミングで促すことが重要です。

C)「時間」への不安:いつまで拘束されるのかという、時間に不安を抱えている
様々な調査結果から、オンライン就活の実態として、学生は予定を詰め込む傾向が見えてきました。そんな実態があるため、終了時間の延長が不満足につながったという声も聞こえてきます。イベントの終了時間や、区切りとなる休憩時間の目安など、時間に関するストレスを取り除くことも重要です。

D)「形式」への不安:どんな形式で進行していくのかという、そのやり方に不安を抱えている
どんな形式やスタイルで進めていくのかを明確に示すことで、参加者の形式への不安を払拭することができます。例えば、「今日は、一方通行の説明会ではありません。人事の説明2,3割。皆さん同士で話をするのが7割の場になります」など伝えると、参加者が戸惑うことがないでしょう。

②「受動参加」から「主体参加」への変化を起こす

オンラインインターンや説明会は、物理的距離に加え、心理的距離も発生するため、参加者の主体的参加を促す準備をすることで、没入感を生み出していく必要があります。

イベント当日を迎える前からできることとして、告知の段階から、イベントの目的、狙い、ワーク内容、登場社員の紹介などをして、期待値を形成しておきます。
教育の現場である「反転授業」のように、自宅で予習できるような、動画などを事前に見てもらうのも有効です。

当日も、場の目的、参加する必然性のある理由、この場に参加することで得らえるメリット、期待、留意点などを、影響力ある人物(例:社長や役員)などから伝えられると、より参加者の主体性を引き出し、没入感が高まります。

③短サイクルでの形式変更

オンラインは場の臨場感が薄く、参加者は集中力を保つのが難しいものです。
画面越しに代わり映えのしない説明が続くと、すぐに飽きてしまいます。リアルイベント以上に、形式を変化させ、参加者にあきさせない工夫が必要となります。
例えば、会社説明のプレゼン。30分間、一方通行の説明をするのではなく、プレゼンの中で、

▶チャットを促す場を創る
▶投票機能を使ったクイズを差し込む
▶関連する動画コンテンツを見てもらう
▶参加者同士でディカッションする時間を設ける

など、形式を変えることで、参加者の没入感を引き出すことができます。
インターンシップや説明会全体のプログラムで考える際も、同じ形式が続いていないかチェックが必要です。よっぽど参加者を惹きつける話者なら話は別ですが、20分以上プレゼンが続くような場合は、工夫が必要だと考えた方が良いでしょう。

以上、没入感が生まれる工夫として、

➀安全・安心を妨げる4つの不安の消去
②「受動参加」から「主体参加」への変化を起こす
③短サイクルでの形式変更

について、まとめました。
共通する大切なことは『どれだけ学生の立場に立てるか』という点です。
とことん学生に立場に立ち、どんな場やどんなプログラムなら前のめりになれるのかを徹底的に考え抜いた先に、参加者の没入感が生まれやすくなります。

◎オンラインインターンシップ・オンライン説明会で【特別感】が生まれる工夫

学生の就活もオンラインが前提となり、自宅から手軽にインターンや説明会に参加できるようになりました。その結果、インターンや説明会への平均参加社数が増えています。加えて、画面越しで参加するインターンや説明会は、どうしても記憶に残りにくく、後から参加したイベントに記憶が上書きされやすい状況です。

ここでは、そんな学生の「記憶に残りにくい」を解消するために、インターンや説明会に対して、【特別感】を持ってもらう3つの工夫を紹介します。

➀コンテンツを連動させる

オンラインのメリットは、会場まで来てもらうための労力や費用といった、学生に与える負担を最小化できることです。欲張って1回のイベントですべてを盛り込もうとせずに、コンテンツを分散&連動させることで、複数回出会う機会をつくり、学生の記憶にとどめてもらうことができます。

例えば、以下のようなインターンの設計も可能です。

▶30分程度で会社の基本情報&インターンの概要を伝えるインターン説明会
▶さらに理解を深める&インターンのアウトプットに役立つ、会社情報や動画紹介のメール
▶ワークショップを中心としたインターンシップ

ただ、注意が必要なのは、1回1回のイベントや情報提供のクオリティです。
毎回、「次も参加したい」という感想を引き出せないと、次につながりません。学生の満足度を担保できる質の高いコンテンツを考え抜く必要があります。

②思い返せる「共通体験」や「きっかけ」を提供する

オンラインインターンを通して提供する、「この仲間と、こんな体験をした」といった唯一無二の経験を思い返せる企画を盛り込むと、学生の記憶に残りやすいものになります。例えば、

▶終日型のインターンで、お弁当のデリバリーを手配し、画面越しに参加者全員同じランチを食べる
▶参加者全員で、画面越しに同じポーズをとってもらい、記念撮影(キャプチャー)をし、後日その画像データを参加学生に送付
▶当日のオンラインインターンを録画しておき、その内容を10分~15分程度の総復習動画に編集し、後日参加学生に共有

など、このような工夫をしている企業もあります。是非とも、自社流の企画を盛り込んでみてください。

③一つ一つのコンテンツに「オンラインならでは」を盛り込む

まだまだ多くの会社が、リアルでおこなってきたインターンや説明会のコンテンツをオンラインに代替している状態です。
そのような中、オンラインならではの工夫が盛り込まれているインターンは、満足度が高く、学生の記憶に残りやすいものになります。

例えば、「会社概要説明」「休憩」「学生によるワーク発表」といった、どこにでもあるプログラムの中でも『オンラインならでは』を入れることができます。

▶会社概要説明
一方通行の会社説明は、リアルの時以上に届きません。
例えば、Zoomの投票機能を使い、参加者の理解度や反応を見ながら、その場で参加者に合わせた情報をお届けしていくライブ感溢れる説明は、オンラインならではと言えます。また、カフートといったツールを使いながら、クイズ形式で行う会社説明もオンラインならではで盛り上がりやすいです。

▶学生によるワーク発表
代表者1人がプレゼンする従来の発表形式ではなく、メンバー人数分のブレイクアウトルームを設け、メンバー全員が(それぞれの部屋で)プレゼンする、パラレルプレゼンテーションも、オンラインならではの発表形式です。
「全員が発表する」という縛りは、参加者の当事者意識を強め、オンラインでも能動的な参加者が増えます。

▶休憩
休憩もオンラインならではの工夫ができます。
例えば、「変わり映えのない環境で、PCに向き合い続けると、体も緊張します。なので、少しでもリラックスしてもらうため、せせらぎの音と森林の画像をみながら、休憩ください。」というアナウンスのもと、ここちよい音と映像と共に休憩時間を過ごしてもらうこともできます。

◎まとめ

今回は、オンライン採用時代における、インターンシップや説明会の満足度を向上させるキーワード「一体感」「没入感」「特別感」と、その各「〇〇感」抱いてもらう具体的な工夫をまとめました。

ジャンプでは、多くの実績実例を持ち合わせております。より多くの工夫を知りたいという企業さま、自社の魅力に合わせた独自のコンテンツ企画を検討されている企業さま、是非ともお気軽にご相談いただけると幸いです。

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ソシオークホールディングス株式会社さま
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◎お役立ち資料

インターンシップ企画・設計の手順や、考え方をまとめた資料をご用意しております。【基本編】と【応用編】がありますので、ダウンロード申請の上、ぜひお役立てください。

また、フォーマットに沿って必要事項を記入するとインターンシップの企画書の骨子が出来上がる「インターンシップ計画フォーマット」も、以下よりダウンロードできますので、ご活用下さい。

小緑直樹
クライアントパートナー

「採用」や「組織」に関わる仕事は、よりよい日本、さらにはよりよい世界を創っていく上での最適な人材活用に携わる ことだと思っています。そんな大きな思いを忘れず日々仕事に打ち込んでいます。趣味のジャグリングはいつでも披露します!


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