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内定フォロー

内定辞退者への対応 ポイントは「長期視点」

辻隆斗

◎内定辞退!ショックは大きいが・・・

苦労して出会った有望な学生が内定を承諾してくれた!経営者や人事担当者の喜ぶ様子が目に浮かびます。ところが一度は内定承諾をしてくれたのに、後日内定辞退を申し出てくるケースは、時代や業界を問わず多く見受けられます。喜んだのも束の間、あまりのショックに涙を流したご担当者もいらっしゃいます。これまでコミュニケーションを重ねて信頼関係を築いて来たからこそ、そう思っていただけにご心痛はいかばかりかと拝察します。昨今の売り手市場を反映してか、各社内定者フォローの施策に四苦八苦されてもいるようです。内定者フォローの施策については別の記事に譲るとして、今回はそういった努力の甲斐なく内定辞退が発生してしまった後の対応、これにスポットを当てて考えてみたいと思います。

◎追えば逃げると心得る

恋愛においてもそうですが、いつの世も男女問わず押しに弱い人というのは一定の割合いるようです。特に心にまだ迷いがある場合には、熱心にアプローチを重ねることで心が通じ、入社を決めてくれることがあります。しかし、他社に行く、自社の内定を辞退する、一度そのように覚悟を決めてしまった相手には、押しの一手は効きません。むしろ、しつこいと思われ返って嫌われてしまいます。就活のエピソードとして、辞退を申し出たら人事担当者が怒った、○○するぞと脅されたなどという噂も実しやかに聞こえて来ますが、これは論外。絶対にやめてください。会社の評判を落としますし、将来その学生は自社のお客さんになる存在かもしれないのです。そもそも会社と学生は対等ではありません。どういうことかと言うと、その学生が自社に入社しようとしまいと、会社の将来や担当者の人生には大きな影響はありません。しかし、学生にしてみればどの会社に入るかは人生がかかっている問題なのです。十分に話し合ったら、最後は彼らの決断を尊重してあげるくらいの姿勢を示してみてはいかがでしょうか。きれい事に聞こえるかもしれませんが、実はそこには大きなメリットがあるのです。では、内定辞退の申し出があったら、具体的にどのように対応するのが良いのでしょうか。まずは、なぜ内定辞退を考え決断するに至ったのか、よく学生の話を聞きましょう。自社のメリットもうまく伝えながらも、基本は共感の姿勢を示して傾聴します。そして程よいところでタイミングを見極めて、新卒採用からモードを切り替えましょう。

◎ポイントは長期視点に切り替えること

何のモードに切り替えるか、それは「中途採用」モードです。新卒採用担当者としてではなく、個人として君の人生を応援しているよ。だから君が決めたそっちの会社でがんばれ!とエールを送って気持ちよく送り出します。そして、半年に一度くらい連絡して状況を聞いてみましょう。仕事が順調であれば、喜んで引き続き応援してあげればよいと思います。しかし、年月の経過と共に仕事の悩みを抱えるようになりますし、それを社内の人には相談できずにいる場合もあるでしょう。そうなったら、「相談に乗るから一度会おう」と誘い出すのです。再会してもやはり相手の話を親身になって聞いてあげます。場合によっては社会人の先輩としてのアドバイスをしてあげるのもいいでしょう。こうなったら連絡は一月に一回、場合によっては二週間に一回と頻度を高めても大丈夫です。自分を心配して状況を聞いてくれていると、相手は思い始めているはずです。それで事態に進展が見られない場合は、満を持して「よかったらうちに来るか?」と切り出してみましょう。そしてこう言葉を添えるのです。「就活生のときに出会って君に内定を出したけど、今こうして苦難に立ち向かってがんばっている姿を見て、成長したなと思っているよ。やっぱりあのとき君に内定を出したのは間違いじゃなかったと確信できた。」いかがでしょうか。私は人事時代にこのやり方で何人も「中途採用」に成功しています。長期視点の取り組みにはなりますが、よろしければお試しください。

辻隆斗
取締役 クライアントパートナー

前職は人事を担当。会社全体の仕組みから社員一人ひとりのケアまで、幅広い視点から会社や組織の活性化に貢献します。既存の概念にとらわれることなく、常に柔軟に考えることを心がけています。趣味は料理。食べるのも作るのも大好き!


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