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内定フォロー

厳選化する就活、志望度を上げるコミュニケーションとは。

辻隆斗

◎学生と出会えない時代

春になり就活生と思しき学生の姿をよく見かけることが増えてきました。2020年卒の就活生です。ここ数年の傾向として、就活生は最初からターゲット企業を絞り込んで動き、内定が出ると早々に就活を終了します。言ってみればこれは学生の活動量がぐんと減ることになりますので、企業の側から見ると、なかなか学生に会えないということになります。その貴重な接点で交わされるコミュニケーションの重要度は今まで以上に高まっていると言えるでしょう。最近では現場や経営からもたくさんの方々が採用活動に参加されるようになってきましたが、ふと思ったのが、人事の方々はそこでどのようなコミュニケーションが取られているのか、どの程度把握されているのだろうかということです。すべて現場任せで人事が中身を把握していないとなると、これは大きなリスクと言わざるを得ません。把握はもとより、その質を向上させることは人事の重要なミッションであると思います。なぜ把握していないことがリスクで、向上させることが重要なのか、それは学生の志望度向上のタイミングが、面接や面談の充実度と直結しているからにほかなりません。では学生の志望度を上げるために、面接や面談の場でどのようなコミュニケーションが取られるのが望ましいのか、今回はこれを考えていきましょう。

◎不安を消すのではなく、希望を提示する

ここ2~3年、学生と話していて思うのは、働き方(勤務時間、勤務地、キャリアアップなどの自由度)や社内の人間関係や雰囲気に関する質問が非常に多くなってきたということです。何をもっていい会社とするかは人によって価値観が異なるとしても、最低限、ブラック企業でないということは確認しておきたいということなのだそうです。少なくとも以前のような、自分の成長のためには辛くても頑張ります、という発言は本当に少なくなりました。今持っている自分の価値観を曲げない生き方ができる会社かどうか、という基準で就職先を探すようになってきているのかなと感じます。これに対してイエスかノーかを回答するだけでは、実は志望度を上げるには不十分だと私は思います。なぜなら、それは不安要素を排除したに過ぎないのであって、この会社に入りたいという積極的な要素を提示したことにはならないからです。不安がないのと希望があるのは似ているようで全く別物です。考えてみましょう。不安がなくて希望があれば最高ですね。不安があって希望がないのは論外です(何も説明していないのと同じですね)。では、不安があっても希望があればどうでしょうか。これは入社する理由に十分なり得ます。もちろん人にもよるのですが、少なくとも不安がなくて希望もない会社よりも十分魅力的に映ります。つまり不安のあるなしは志望度を下げない要因としては機能しますが、志望度を上げるには希望があるかどうか、これがキーポイントになるということです。

◎気づきを与えるコミュニケーション

具体的に考えてみましょう。学生からの質問がブラック企業でないことを確認するためのものであったとします。しかし、それに回答するだけでは不安要素を取り除くことにしかならないのですから、企業の側からもう一歩踏み込まなくてはなりません。例えばその学生の個性や特性を見抜き、それを根拠に彼が活躍している姿を思い浮かべることができるような話をしてあげることができれば、志望度は確実に上がるでしょう。これはその学生に自社の魅力を伝えることができただけでなく、彼を新しい価値観に目覚めさせた、つまり気づきを与えたのであり、彼に「希望」を提示したことになります。学生も「一人の人間としてちゃんと自分と向き合ってくれた」と実感し、満足して帰るでしょう。これが学生の志望度向上に直結しているは冒頭でお話しした通りです。もちろんそこまで見抜くことができる面談の力量と、自社の魅力を理解しそれを客観的に話せる必要があります。また、不安を取り除くための説明は誰に対しても一律の内容でもさほど支障はありませんので、事前準備ができますしその難易度もさほど高くはないでしょう。しかし、気づきを与えるコミュニケーションは、相手によって適切な言い方をしなければ決して刺さりません。面接や面談においては職務適性を見抜くことも重要ですが、その学生の価値観がどのようなものであるのかを理解し、それにマッチする自社であるのかを判断し、その学生に合った説明するといった、個別性の高いコミュニケーションがこれからますます求められるでしょう。このような要素を盛り込んだ面接官トレーニングやリクルータートレーニングは、内定承諾率の向上に少なからず寄与すると思いますのでぜひご検討ください。

辻隆斗
取締役 クライアントパートナー

前職は人事を担当。会社全体の仕組みから社員一人ひとりのケアまで、幅広い視点から会社や組織の活性化に貢献します。既存の概念にとらわれることなく、常に柔軟に考えることを心がけています。趣味は料理。食べるのも作るのも大好き!


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