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採用コラム

採用ブランディングってなんぞ?

田邊宏明

お客さんと話をしていると、ちょいちょい出てくるようになった「採用ブランディング」ということば。なんとなく意味はわかりますが、じぶん自身もふくめて、ふわっと捉えている人が多いのではないでしょうか。

採用ブランディングがくる。

「ブランディング」は、 広報やマーケティングなどで、会社の認知度と価値を高める「活動」のことです。で、製品や会社、人に対するイメージの総和が「ブランド」です。ブランド価値が高いというのは、ざっくり言えば、好感度が高いということ。ブランド力があると高くても買ってくれるとか、優秀な人材が集まるとか、いいことがあるんですね。

この「ブランディング」を採用にもってきたのが「採用ブランディング」です。優秀な人が自然と集まる会社になるための活動全般を指します。もう少しいうと、単純に会社や製品のファンを増やすというより、採用したいターゲットを会社のファンにする活動です。アップル製品のファンが、アップルにとって働いてほしい人とは限りませんから。

なぜ「採用ブランディング」をはじめる企業が増えているかというと、従来の採用手法が通じなくなってきたから。求人広告を出すだけでは、上場企業でさえ人材確保が難しいという状況。なんで、ブランディングとかマーケティングのノウハウを取り入れて、よりより採用活動ができるように改善していきましょうという流れです。

具体的に採用ブランディングってなにをやるのかっていうと、いろいろです。入社案内や採用サイトなど広報物を見直すというのもひとつ。もちろん、それだけじゃありません。オフィス環境を改善したり、福利厚生を見直したり、評価制度を変えたり、報酬の仕組みを変えたり、教育体制を充実させたり、残業を減らしたり、会社の理念やビジョン、ミッション、バリュー、行動指針等を魅力的にしたりと、いろいろです。本来の「ブランディング」とかぶってくる部分も多々あると思います。実行する採用担当者としては、けっこう面白い仕事になるんじゃないでしょうか。

採用ブランディングでブランド価値をあげることによって、何が得られるのか?まず、採用ターゲットからのエントリー増加が期待できます。あと、給与とか企業規模で判断されにくくなります。大企業とくらべて、待遇面で負けてしまいがちな中小企業にとっては、採用ブランディングは心強い味方になってくれるでしょう。また、相思相愛の関係が築くことができるので、内定辞退率も下がるでしょう。ブランド力がつけば、大々的な広報をしなくても人材が集まってくるようになるので、採用コスト削減につながるともいえます。

とまぁ、まるで魔法みたいな採用ブランディング。効果は絶大ですが、そのぶん簡単に実現できるものじゃありません。たとえば、かっこええ採用HPができたからって、求職者が集まってくるわけじゃありません。はじめた当初は、情報発信しても、棒にも橋にもひっかからないこともあるでしょう。まずは3年。地道に続けていくことで、きっとじわりと効果がでてくるはずです。

採用ブランディング見つけた。
最後に。採用ブランディングをやりたいけれど、何から手を付けたらいいかわからないというみなさんへ。これと決まったものはないのですが、最初の一歩として踏み出しやすいのが、採用ターゲットの設定かもしれません。なにを今更という感じかもしれませんが、働いてほしいペルソナをつくりあげることで、採用ターゲットに振り向いてもらうためにはどうすればいいか、考えやすくなるのではと思います。「採用ターゲットは、どうやって決めれば…」という場合には、3C分析とかいいかもしんないですね。「自社」「顧客(ここでいう顧客は、求職者や学生です)」「競合」それぞれの視点から、会社の魅力をあぶりだす。それでもって、その自社の魅力をより色濃くしてくれる人はどんな人だろう、とか。自社の事業の魅力から、どんな資質・経験をもった人材がいれば、さらに事業を伸ばしてくれるだろう、とか。自社と、採用競合と、採用ターゲットの関係を整理すれば、採用ブランディングのヒントが見えてくるはずです。

田邊宏明
コピーライター/ディレクター

広告は、目立ってナンボの世界でもあります。ただ、たとえ派手さはなくても、相手のことを思いやる人間らしい誠実なスタンスこそが、人を動かすということを忘れないでいようと思います。腹の肉を追いやるため、なにか運動をはじめようかと思案中。


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