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採用コラム

40歳キャリアシフトで採用も変わる

安井省人

老後「2000万円問題」は、社会保障に対する大きな関心を集めました。以前から年金問題は取り沙汰されていますが、なぜ今これほどまでに耳目を集めるのか?人生100年時代を迎え、働き方改革が叫ばれる中、「働く」ことへの不安や疑問が増大しているからではないでしょうか。いかに老後に備えて貯蓄をすればよいのか、現役として働き続けるために、私たちは今、何を考えなければいけないのでしょうか?

企業の平均寿命は人間の平均寿命より短い!?

東京商工リサーチの調査によると、2018年に倒産した国内企業の平均寿命は23.9年となった。帝国データバンクの調査でも企業の平均年齢は37.16歳とされています。企業は私たちほどには長く生きることができないとすれば、どこかで働く企業を変える選択は必然と言えます。
人によって何歳まで働きたい!はちがうと思いますが、さまざまな要因が働き手の現役で働く期間の長さを求めています。
・労働人口の減少(高齢者を支える社会保障のための税収等が減少)
・老齢人口の増加(100歳人口は急激に増えている)
・技術やイノベーションの伸展(平均余命を伸ばす)
・平均余命の伸び(老後年齢が伸びる)
では、私たちはどのように現役で居続けることができるでしょうか?

2012年に政府がまとめたフロンティア構想の報告書にある75歳まで働くための40歳定年制はそのための重要な示唆と言えます。前述の企業の平均寿命を考えると1社で最後まで現役世代を働き続けることは難しい。ならばひとつの会社を40歳で一度しりぞいて2つめのキャリアを進めようというのです。それは人材流動化を意味します。流動化が進めば、労働市場がそのそれぞれの給与を決めるようになります。至極単純な話で、いくら払えば、うちにいてくれる?という駆け引きが各個人の市場価格を決めていくのです。そこにはその企業が成長産業に属するかどうかなども価格決定の要因にはなってくると考えられますが、一義にその人物の価値そのものが価格(=給与・報酬)となってあらわれます。そうなれば働く人材は自分のスキルアップに励み、仕事のパフォーマンスを向上させ、所属企業のバリューアップに貢献することでしょう。結果、それは人材の価格になって返ってきます。

無題1

40歳はキャリアの分岐点!?円滑なキャリアシフトのために

40歳には多くの会社で管理職等へのキャリアを決断する年齢です。その良し悪しは別として新しいキャリアの選択を考えるにはいい年齢です。労働と老後の境目を労働定年と呼ぶとして労働定年を75歳におくと40歳から労働定年までの期間は35年。60歳定年時代は、四大を卒業して、就職して定年まで38年前後。ほぼ同じ期間が40歳のあとに待っているのです。
ならば40歳をどのようにむかえるのか。40歳までの間に兼業や副業によって、自身の価値にプラスアルファの能力を身につけながら、複数のコミュニティに属することが重要です。業界や地域、企業、立場、さまざまなコミュニティに横断的に価値発揮することができれば、キャリアシフトもスムーズで、かつ横断的な知識やスキルが身につきます。軸足を徐々にずらしてピボットするキャリアを積むことはとてもいいキャリアの積み上げになります。
この複数へのコミュニティに属する努力が40歳分岐点だけでなく、労働定年までのキャリアシフトの布石になるのではないでしょうか。

無題2

採用する側もキャリアシフトに準備しましょう。

働き手のキャリアシフトが実現すれば、人材を採用する側のあり方や手段も変わるはずです。よく言われるところでいえば、欧米のようなジョブ・ディスクリプション(職務上の期待役割を明示した記述書)のような準備が求められるようになるでしょう。どういう価値発揮を個人に求めるかが明確でなければそのスキルや知識を備えた人材の獲得はできませんし、マッチングの精度は上がりません。事業において何を求め、何を期待するのかという視点は、年功序列型雇用をすすめてきた日本企業の採用においては、まだまだかなり粒度は粗く、苦手であると感じます。なんとなくいい人を採るという採用は終わりを迎えているのだと思います。
また、学びの機会をあたえられるのか?という観点も重要です。それは研修のような箱型のものである必要はありません。人材に対して期待役割に貢献してもらうのと引き換えに、そのさらなるスキルアップや知識の拡大、個人では得ることのできない場の提供など、さまざまな機会提供を検討するとよいでしょう。働き手へのコミュニティの提供や接点をどうつくり、どう強化するのか?アプローチできるコミュニティは何か?働き手が変化することは、採用側の変化も強く求めているのです。
個人のキャリアを自分自身がデザインする時代にあって、企業の新しい雇用のあり方も、すでにはじまっているのです。

無題3

安井省人
取締役 クリエイティブディレクター

組織活性につながるクリエイティブとは何か?問題の本質は何か?を追求する毎日。近道でも回り道でもゴールに繋がるプロセスを大切に、現実にも夢にも向き合いたいと思っています。二地域居住の週末田舎暮らしやってます。


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