STRUCT REPORT
採用コラム

次代の採用市場に向けて、HR担当者に必要な思考を考える

安井省人

「人生100年時代」において、組織から個の時代へ変化が起こり、求職者の採用マーケットに対する思考も変わらざるをえなくなっています。キャリアの形というものはここから間違いなく別の形にシフトしていきます。必要なのは自分自身やキャリアに対する思考をいかに深められるかということだろうと考えられています。そんな時にやってくる採用市場の変化は何をHR担当者に求めるのでしょうか?

企業はひとつにつながっている

個人のキャリア思考の深まりと同じことが企業に求められる時代がくるのではないか。どういうことか?企業がひとつの人格としてどのような思考を持って、この時代に生きるのか、その思考をいかに深められるのかという視点です。経営者らがビジョンを掲げ、道筋を示すことだけではありません。構成員全員が、所属企業の人格を理解し、その一挙手一投足をひとつのカラダの一部として、共にゴールへ向かうひとつの体となれるのかどうか。そんなことが重要になってくるのではないかと思います。まちがっても旧来の軍隊型の組織マネジメントのことではありません。そもそも人材と企業がお互いに必要とされ響き合う関係性をつくるべきであることはもう自明の価値だと思います。

企業経営において、人が大事、ということを否定する方はいないはず。同時に、人だけがOKであればいいというわけはもちろんなく、どういう事業をどんな枠組みで行うかも同様に重要です。しかし、「仕事の現場」となると、なぜかそれがどこかへ吹き飛んでしまっているように感じることも少なくありません。なぜなのでしょうか?

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事業戦略と人材戦略もひとつながり

現場には成果が求められます。成果にはさまざまな指標があるでしょうが、たとえば採用活動においては、内定者数がひとつの指標になることがあります。この「数字」を目標においたとき、「数」が目的化してしまうことがあります。そうするとこの「数」の裏にある人材の「思考」はおいてきぼりになります。企業をひとつの人格であるとしたときに思考の見えない企業に、求職者は思考を重ね合わせることができるでしょうか。企業の「思考」が見えないまま入社した社員が、実際の日々の業務に、違和感をもって働くことになったとしても、それは必然のなりゆきでしょう。間違いはその採用活動から始まっているのですから。

「経営がほしい人材」「現場がほしい人材」「人事がほしい人材」これらがすでに噛み合っていないケースは多く見受けられます。それは事業戦略や人材戦略が見えない、または理解できていないことから起こる現象です。経営という頭脳、事業や仕事という細胞、人材という栄養分がきちんと組み合わさってこそ、企業体は自身の思考を確実に達成することができるのだと思います。

ではこの求職者と企業の「思考」をつなぎあわせる作業を誰がやらねばならないか。それはHR担当者に他ならないのではないでしょうか。事業戦略を理解し、人材戦略を計画・実行できることがこれからに求められるHR担当者の理想像ではないでしょうか。

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日本の働く人を幸せにする仕事をしよう

日本人の仕事に対する満足度は139カ国中132位と最下位クラスだそう(米ギャラップ社調べ)。そんな人たちの満足度を向上させ、現場を熱くし、経営に貢献できる仕事がHRにはあります。まだまだ目先の利益を優先してしまい、HR部門へ投資しない会社も多いですが、その現状を打開し、現場を巻き込んで経営と一体となった人材戦略を実行することができたら、と考えればワクワクしませんか?

HR部門だけの成果をめざした「思考」をするのではなく、企業体の「思考」に着目し、いきいきと働ける人たちを企業体に増やしていくことができれば、いずれその総和として、日本の働く満足度は向上していくはず。そんな思考のできるHR担当者のみなさんを、私はこれからも応援していきたいと思います。

安井省人
取締役 クリエイティブディレクター

組織活性につながるクリエイティブとは何か?問題の本質は何か?を追求する毎日。近道でも回り道でもゴールに繋がるプロセスを大切に、現実にも夢にも向き合いたいと思っています。二地域居住の週末田舎暮らしやってます。


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