STRUCT REPORT
採用コラム

採用で「プロジェクト・マネジメント」をやってみよう

林田宏基

「プロジェクト・マネジメント」。
ビジネスパーソンであれば誰しも、いつかどこかで、あの日あの時あの場所で、見たこと聞いたことがあると思います。
では、自らプロジェクトに携わっている、と自覚している方はどの程度いるでしょうか?これはあまり多くないかもしれませんね。
しかし、少なくとも採用に関わる皆さんは、間違いなくプロジェクトの当事者であると言えます。なぜなら、採用活動は立派なプロジェクトであると断言できるからです。
今回は、「採用活動もプロジェクトである」と位置づけた上で、「採用プロジェクト・マネジメント」のポイントと、「プロジェクト・マネジメントスキル」が最強のポータブルスキルである、ということについて整理していきたいと思います。

そもそも、「プロジェクト」ってなんだ?
プロジェクトマネジメント協会(PMI)により制定されているPMBOK(Project Management Body of Knowledge・プロジェクトマネジメント知識体系ガイド)によれば、「プロジェクト」とは「独自のプロダクト、サービス、所産(成果)を創造するために実施する有期性のある業務」と定義されています。そうです、上述の通り採用活動もプロジェクトの定義に合致した業務なのです。
私はこれまで多くの採用失敗事例を見聞きしてきましたが、その原因として、採用戦略の不備や採用プロジェクトメンバーのアサインミス(!)に加え、プロジェクト・マネジメントの機能不全がその原因になっていることが多く見受けられました。それだけ、採用活動を成功裡に遂行するためには、「採用活動もプロジェクトである」という位置づけのもと、採用責任者はプロジェクトマネージャー、そして採用担当者や外部パートナーはもれなくプロジェクトメンバー、と捉えて採用活動に臨む必要があると思うのです。

採用プロジェクト・マネジメントのポイント
プロジェクト・マネジメントとは、まさにこのプロジェクトという単位で業務をマネジメントすること。
プロジェクトの成功は、1)成果、2)時間、3)資源、4)品質 をバランスさせることです。
これを採用活動に置き換えると、採用プロジェクトマネージャーがやるべきことは以下の通り整理できます。

1) 成果のマネジメント
成果とは、自分以外のステークホルダーが評価するものです。つまり、オーナーや顧客の満足を満たすことができて初めて「成果」は評価されます。
プロジェクトマネージャーたるもの、自らの顧客は何を期待しているのか、何をもって成果を評価するのか、理解しておく必要があります。これが「期待値調整」や「ゴールの明確化」と言われるものです。
採用活動におけるオーナーや顧客とは、社内の経営陣や現場です。つまり採用プロジェクトマネージャーは採用戦略を立案し、経営陣や現場との積極的な対話を通してその内容に合意を得ることで、はじめに期待値調整をおこなっておくべきなのです。そしてその後もステークホルダーには採用状況を定期的に報告することで、期待値調整を継続的におこなっていくことをおすすめします。

2) 時間のマネジメント
プロジェクトは有期性があると述べました。採用も「いつまでに、どのような人材を、どの程度」という期限付きのプロジェクトです。長期間に亘るプロジェクトほど、スケジュール管理が欠かせません。スケジュールなきプロジェクトは例外なく「夏休み最終日現象」(宿題が終わってない事態)に陥ります。
しかし、どこから手を付けていいのか分からない方も多いはず。そんな時は、採用業務の分解と可視化から始めましょう。いわるゆ「タスクの洗い出し」で、プロジェクト用語ではWBS(ワーク・ブレイクダウン・ストラクチャー)と言われるものです。
タスクを洗い出せば、何をいつまでにやらなければいけないか、何にどのくらいの時間(期間)が必要か、といったスケジュール計画が可能になります。この計画があればこそ、採用業務の進捗管理も可能になるのです。

3) 資源のマネジメント
時間のマネジメントの一環でおこなったタスクの洗い出しは、そのまま工数や業務難度、必要コストなどの予測につながります。これらの予測に従って、採用プロジェクトとしての資源計画、すなわち要員調達や役割分担、採用予算などを検討していきます。
社内リソースだけでは採用プロジェクトの遂行が困難であると予想される場合は、外部リソース(コンサルティングやアウトソーシング、人材派遣など)の活用も視野に入れましょう。一方で、洗い出したタスクは本当にすべて必要なのか、重要度と緊急度の観点から優先順位付けをおこない、タスクの仕分けをすることも重要です。また、従来の業務手順は本当にそのまま維持する必要があるのか、BPR(Business Process Re-engineering・業務プロセスの解体再構築)の観点から検証し、採用業務の形式知化や簡略化を図ることも可能です。採用業務の属人化を排すことも、有限な資源の最大活用につながることを覚えておきましょう。

4) 品質のマネジメント
採用プロジェクトは、さまざまな採用業務の積み重ねです。最終成果だけをマネジメントしようとしても、それは基礎工事の工程と品質を軽視して立派な橋を架けることだけ考えるような無謀なことです。日々の採用業務プロセスを通した地道な品質の積み重ねの先にだけ、手にすることができる成果があります。
採用業務プロセスの品質を担保するためには、採用プロジェクトメンバー全員が採用戦略を同じレベルで理解しておく必要があります。そして、採用活動を通して何を大切にするのか、何を応募者に約束するのか、など、価値観や判断基準を揃えておくべきでしょう。何故なら、採用プロジェクトマネージャーはスーパーマンでも聖徳太子でもありませんから、採用プロジェクトメンバー全員の業務プロセスやアウトプットをすべて掌握することは物理的に不可能であるからです。また先述の、採用業務の形式知化や簡略化は、ヒューマンエラーの極小化を含む業務品質の底上げと均質化の効果も期待できます。

プロジェクト・マネジメントスキルは最強のポータブルスキルである
プロジェクト・マネジメントスキルは、とても高度な能力です。しかし一方で、先天性に左右されることのない後天的な能力でもあります。つまり、ポイントを理解し、実践を繰り返していくことで、誰にでも習得可能なのです。
そしてこの、プロジェクト・マネジメントスキルは、業界や仕事内容を問わず汎用的に威力を発揮することができる、最強のポータブルスキルであると私は考えています。
私はこれまで、異業種からの転職者が、はじめての仕事にも関わらず短期間の内にキャッチアップを果たし、活躍する姿を数多く目撃してきました。今振り返ってみると、そうした多くのハイパフォーマーたちの共通点として「プロジェクト・マネジメントスキル」がありました。
私もこの1年、前職とは異なる領域で仕事をしたり、自社のオフィス移転プロジェクトを任されたりする中で、どうにかこうにかやってこれているのも、前職までの採用プロジェクト経験を通して自分自身に実装することができたプロジェクト・マネジメントスキルのおかげかな、と思っているのです。

まさにいま採用に携わっている方、そしてこれから採用に携わっていく方たちとともに、「採用経験者は必ずプロジェクト・マネジメントスキルを持っている」、というブランドを作っていけたらいいな。
さあ、あなたも早速はじめてみましょう!

林田宏基
クライアントパートナー

「何が目的か、何が手段か」に拘ります。顧客以上に顧客好き、はもう治りません。論理派気取りで情緒的、寂しがりやの一人旅、早起き苦手な山登り、真面目な顔してヘヴィメタル、強くもないのにお酒好き。典型的な天邪鬼ですが、実は褒められて伸びるタイプです笑


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