STRUCT REPORT
採用コラム

採用コミュニケーション設計のポイント

林田宏基

「採用活動とはコミュニケーションである。」 と誰かが言ったとか、言ってないとか。
とまれ、採用活動は企業と応募者のコミュニケーションの積み重ねです。採用コミュニケーションの質も、採用プロジェクトの成果を左右する重要因子であると言っても過言ではありません。
初期選考過程におけるAI活用をはじめ、採用活動においてもHR Techは今後ますます浸透と拡大をしていくものと思われますが、一切のコミュニケーションなしに採用活動が成立する時代はそう簡単に到来することはないでしょう。
なぜなら、応募者と企業の双方がコミュニケーションを不要としない限り、言い換えればどちらか一方でもコミュニケーションを希望する限り、そこにコミュニケーションは必須となってくるからです。
今回はこの、採用活動におけるコミュニケーション、がテーマです。採用コミュニケーションは、企業視点から見ると以下の2パターンに大別できます。

a) 応募者に対する情報の伝達
b) 応募者に関する情報の収集

今回は便宜上、aを 「採用コミュニケーション」 と位置付けて、そのポイントを整理してみたいと思います。

コンテンツ
Step1 発信情報の決定
Step2 発信時期の決定
Step3 発信者の決定
Step4 発信手段の決定

~ Step1 発信情報の決定 ~

上述の通り、今回は「応募者に対する情報の伝達」を採用コミュニケーションと位置付けて考えます。
まず、企業はなぜ応募者に情報を伝達しなければならないのか?それは、企業が採用を成功させるため、或いはその前提として採用力を高めるため、以下のように各因子をスパイラルアップしていくためには、自社の独自価値を有効に発信することが不可欠であるからです。

①採用ターゲットと出会う

②採用ターゲットを掴む

③採用ターゲットを口説く

④採用成果と採用力を高める

⑤独自価値と求心力を更に拡大する

では、上記を念頭に置いたとき、採用ターゲットに対してどのような情報を発信していくべきなのか?
ここで必要となってくるのが「自社分析」です。つまり、自社の独自価値を整理、明確化するところから始めるということです。
その独自価値を整理する際は、「企業姿勢」「事業・商品」「経営基盤」「仕事特性」「成長・キャリア」「報酬・待遇」「人事施策」「人的資産」「組織風土」などの切り口から、自社が採用ターゲットや採用競合に誇ることができるストロングな、あるいはユニークなポイントを洗い出してみると良いでしょう。

~ Step2 発信時期の決定 ~

採用ターゲットに伝達したい情報を整理したら、それぞれどのタイミングで発信すべき情報であるかを考えます。
採用ターゲットと接触する前なのか、初めて接触するタイミングなのか、或いは初期接触の後工程なのか。
初めて接触するタイミングなのであれば、それはどのようなシチュエーションなのか。社外イベントや自社イベント、自社イベントでもインターンやセミナーなど様々なパターンがあります。
応募者はトータルとしては多くの情報を求めてくるものですが、最初から膨大な情報を無秩序に発信しても、それらを企業の期待通りに理解してもらえるとは限りません。
AIDMA理論やAISAS理論などがよく知られていますが、情報の発信者としての企業はストーリー性を考慮しながら、どの情報をどのタイミングで発信すべきか、という設計をしておくべきです。
少なくとも、採用コミュニケーションは接触前の集客だけが目的ではない、ということを理解しておいてください。

~ Step3 発信者の決定 ~

「あの人に○○を語らせると説得力があるんだよなぁ~」、或いはその逆のパターン。
皆さん、これまでそんな経験をしたことがあるのではないでしょうか。
そうです。同じ情報でも、誰が発信するのかによって、相手に対する「響き方」は変わってくるものです。
例えばビジョンについては経営層から、事業については事業責任者から、技術についてはエンジニアから、ビジネスについてはコンサルタントやセールスから、応募者との約束や採用にかける想いは人事から、というように、発信したい情報に一層の説得力を持たせることができる主体は誰か、ということを考えてみましょう。
もちろん、採用担当者が思い描いた理想(どの情報を誰に発信してもらうか)を採用活動の中ですべて実現することは決して容易ではありません。
しかし一方で、必ずしも「対面」「リアルタイム」に発信してもらわなければならない、というものではないということが救いの道として残ります。
ここで次の「発信手段」につながっていきます。

~ Step4 発信手段の決定 ~

「どのような情報を」「いつ」「誰から」 発信したいか、というところまで設計したら、仕上げは発信手法、すなわち「どのように発信するか」の検討です。
リアルタイムなのか、オンデマンドなのか。
対面なのか、非対面なのか。
アナログなのか、デジタルなのか。
文字なのか、音声なのか。
画なのか、映像なのか。
お気づきの通り、ここで言う「情報」とは、言語情報に限られるものではありません。相手が五感でキャッチできるものはすべて「情報」です。
発信手段には例えば以下のような選択肢があります。現在導入済みの手段の改善に限らず、その他の手段の新規導入についてもぜひ検討してみてください。

・求人媒体
採用パンフレット
採用サイト(採用ホームページ)
採用動画
・採用ノベルティグッズ
・インターンシップ
・セミナー(プレゼンテーション)
・ワークショップ
・トークセッション
・職場見学
・社員訪問
・フォロー面談
・フォローイベント

経営ジャンプ画像(2017年10月林田)4
いかがでしたでしょうか?
実際には、採用ターゲットを志向や属性、職種、ポジションごとにセグメントして設計するなど、より綿密な採用コミュニケーション設計が理想ですが、一足飛びに行かずとも少しずつ取り組みを始めることが大事。
まずは自社の独自価値の整理、明確化からぜひ着手してみてください。それが採用コミュニケーションの「コア」となって、きっとスパイラルが動き始めるはずです。

今回 「採用コミュニケーション設計フォーマット例」 をご用意しました。自社の採用力を一層強化すべく、ぜひ資料をダウンロードの上、ご活用ください。

林田宏基
クライアントパートナー

「何が目的か、何が手段か」に拘ります。顧客以上に顧客好き、はもう治りません。論理派気取りで情緒的、寂しがりやの一人旅、早起き苦手な山登り、真面目な顔してヘヴィメタル、強くもないのにお酒好き。典型的な天邪鬼ですが、実は褒められて伸びるタイプです笑


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