STRUCT REPORT
採用コラム

若手社員~中堅社員の人材育成を現場任せにしていませんか?

花島克彰

◎「ニーズが高まる若手~中堅社員研修」

貴重な若手~中堅社員(目安として入社3年目~7年目とイメージしてください)の流出。
だいぶ前から組織課題として顕在化していましたが、最近ではもうなんか当たり前過ぎてわざわざ課題としない企業も多いのではないでしょうか。
まぁ最近の就労観や転職市場を考えればそりゃそうだよね、と。
とはいえ、どうしようもないこの課題に何とかしようと取り組んでいる企業は確実に増えていますね。

事実、昨年はこの年次層に対する研修への登壇機会が非常に多かったです。
内容は企業によって様々ですが、一言で言えば「階層別研修」です。
ですが、この年次層に対する階層別研修はちょっとやっかいです。
そもそも階層別研修では、営業やマーケティング、ロジカルシンキング等の目的・スキル別研修とは異なり、受講者自身に参加目的がない場合がほとんどです。
参加しろと言われたから来ましたが、何か?ってやつです(新人研修や新任管理職研修の類はまた別ですが)。

そのため、階層別研修のテーマを決め切れなかったり、やってはみたけど効果が見えず単年で終わったという企業も多いのではないでしょうか。
結果として、若手~中堅社員層に対する人材開発の施策はぽっかりと穴が開き、狙いを持った仕掛けを行うことができず、育成は現場任せになってしまう。
しかしながら、前述のとおりこの何ともやっかいな若手~中堅社員層の研修に、本腰を入れて取りくむ企業は間違いなく増えてきました。

ここからはあくまで個人的な見解ですが、難しいことは考えず次の観点をしっかりと押さえれば、この年次層に対する階層別研修の成果は、確実に得られると考えます。

◎「若手~中堅者員研修設計の観点」

特別なことはありません。ポイントは、大きく以下の2点となります。

①振返りの場として有効に機能させること

まず、「①振返りの場として有効に機能させること」についてですが、この年次層の状態を考えてみてください。
彼らは結構必死です。必死に毎日生きています。
例えるなら、カーナビの無い車に乗って運転している状況です。
自分の走っている道がこの先どうなっているのかなんて、わかっていません。
もしかしたら、その先は事故が起きてものすごい渋滞があるかもしれません。
遠回りだと思っている道が実は近道かもしれません。
でも、彼らの見ている世界ではそんなことはわからないわけです。

では、どうすればいいか。
ヘリコプターに乗りましょう。
ヘリコプターに乗って上から俯瞰して見てみればいいのです。
自分が走っている道は適切なのか、他に良いルートはないのか。
つまり、現場での日々の業務=運転している状態、階層別研修=ヘリコプターで俯瞰的に自らを認識する状態です。
研修の中にこれに関連したワークをしっかりと時間を取って入れることによって、受講者の態度は目に見えて変わります。
斜に構えていた受講者も研修の必要性を自ら持つことができ、前のめりになります。

②現場で起きていることを扱うこと

二つ目は、「②現場で起きていることを扱うこと」です。これは本当にシンプルです。
受講者の悩みは現場にあるわけです。研修の場にはありません。
特にこの年次層は悩みが多い時期です。研修を通じて、現場で起きている悩みや課題に対して自ら一歩踏み出すことをゴールに、その解決先の方向性を見出すような研修の流れを作ることが重要ですね。
一部では、この年次層に対してキャリアプランニング系の研修を実施する企業もありますが、個人的にはあまりオススメはしません。

大きくはこの2点をしっかりと押さえることができれば、研修終了後には、“自責”のマインドが高まった状態になります。
そうすると、「まだ自分はやれるのにやれていないことがあるな」、「他者や環境のせいにしてしまっているな」、「まずは今の仕事で自分にできることをやってみよう」となります。
実際に、研修終了後のアンケートでもそのようなコメントは多いですし、現場での行動変容をしっかりと確認することができます(もちろん、その後のフォローの仕掛けがあると尚良いですね)。

なんだ、そんなの当たり前じゃんと思う人も多いかもしれません。
ですが、本当にそのような機会を組織として意図的に作れていますか?
そんなことなら現場でやればいいと思うかもしれませんが、残念ながら現場では難しいです。
それは、研修中、研修後の受講者を見れば明らかです。
研修としてやることに意味があります。

また、振返りの場として機能させることをあまりにもサラッとし過ぎている研修も多いように思えます。
振返ることを通じて、研修の必要性を受講者自身に持たせることが何より重要です。
それによって、その後のワークへの本気度、現場への持ち帰りは全く違うものになります。
そのためのワーク設計やファシリテーションのポイントなども観点がいくつかありますが、それはまた別の機会に。

花島克彰
クライアントパートナー

大切にしていることは、その組織や人が見てきたものと同じ景色を見ること。その上で今後の仕組みを作ること。仕組みとはいえ、人間っぽさを捨てないこと。サッカー大好き。企業内でサッカー的組織創りに挑戦したいです。興味のある方はご一緒に!


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