【マンスリー採用ウォッチ9月】内定充足率が高い企業と低い企業、採用戦略のどこに差があったのか?入社意欲が高まる内定者フォローとは?
ショートセミナー「マンスリー採用ウォッチ」は、採用活動におけるポイントを30分で解説するオンラインセミナーです。毎月公開される最新市場データを、弊社代表取締役YouTuberの増渕が読み解きます。
今月は、「新卒採用の早期化に“歯止め”がかかった?複数のデータをもとに注目ポイントを解説!」を中心に、最新データを解説します。
引き続き、できる限りリアルタイムに近い「旬」のデータをお届けし、みなさまからの質問にも「その場で」お答えしておりますので、是非ご視聴ください。本記事では、セミナー内容をまとめています。
10月1日に内定式を終えた企業様も多いと思います。内定式直前の9月最終週に承諾後辞退が増える、というのは採用担当者にとって残念な「あるある」であり、悩ましい状況です。
学情さんによる調査では、8月下旬~9月初め時点で、複数社の内々定を保有している学生の割合が22.8%でした。つまり、5人に1人以上が複数社の内々定を保有しており、内定式を目前に承諾後辞退をする可能性がある状況です。
もちろん、内定式直前での承諾後辞退は企業側にとってダメージの大きいことですが、比較的一般的な傾向であると捉えてよいと思います。
次に、マイナビさんによる調査「2025年度(2026年卒版)新卒採用・就職戦線総括」をご紹介します。
本データは100ページありますので、今回は注目ポイントを抜粋してお届けします。お時間のある時に、本データもぜひご覧ください。
先ほどの内定承諾後辞退の話とも関係しますが、「活動継続率月別推移」のグラフをご覧ください。

調査によると、26年卒の活動継続率は、3月1日~4月末時点では24年卒・25年卒よりも低い数値となっています。つまり、早期(3月1日~4月末)に就職活動を終了する学生が増えていることがわかります。ですが、5月末以降の活動継続率は、ほぼ前年並みとなっています。7月末時点では、25年卒よりも26年卒学生の方が、活動継続率は若干高くなっている点は、大変興味深い結果です。
この結果と併せて紹介されている「平均エントリー数経年比較」についても、ご覧ください。

採用ウォッチでも以前からお伝えしていますが、学生一人あたりのエントリー社数は年々減少し、「厳選応募傾向」が見られました。しかし、26卒学生では、2月までの平均エントリー社数は前年より減少していますが、3月以降の累計結果をみると前年より増加している点が特徴です。
つまり、早期に就活を終了した学生は、少ないエントリー数で決着をつけているものの、満足できる内々定を得られなかった学生は、あらためて春以降にエントリーをするところから就活を続けた、という事象が増えたと考えられます。
25卒採用よりも後半の巻き返しができた、という企業側の声も聞いており、この点はとても注目すべきポイントだと思います。
ここ数年、学生も企業も早期化の影響を受けて前倒し傾向にありましたが、一定の歯止めがかかった可能性があります。「早期に動いたものの、上手くいかなかった学生が3月以降に再始動する」という傾向は、27卒においても同様の動きが復活すると考えられます。
27卒採用で前半戦の状況が厳しい企業も、3月以降にもう一度巻き返せるタイミングが来る可能性がある、と予測できるデータかと思います。
同調査によるインターンシップ・仕事体験の参加率は85.3%、平均参加社数は5.2社で、前年とほぼ同水準でした。
参加予定の活動では、オープン・カンパニーが前年よりも大きく増えています(69.9%)。期間が長いプログラムよりも、サクッと参加できるプログラムが学生のニーズに合っているようです。

就職活動でのAI利用率について、26卒学生は66.6%で年々激増しています。
利用方法としては、ESの推敲が最も多く68.8%でした。AI利用率の増加については、みなさんのイメージ通りかと思いますが、26卒採用では、就活におけるAI活用のブレイクスルー年度になった点も、一つのポイントかと思います。

ここからは、27卒採用に関する調査データをご紹介します。
27卒学生の9月後半時点の就職意識調査(株式会社キャリタス)によると、「インターンシップに参加した時期」を26卒学生と比較したところ、6月~7月が前年割れしています。
これまでの「早期化傾向」が続いていれば、前年比で横ばいまたは増加傾向になるはずです。つまり、27卒学生の今年の動き(6月~7月)は、そこまで活発ではなかったのではないか、という仮説が立ちます。
8月以降は、前年を若干上回っていることから、このデータからも早期化に一定の歯止めがかかった可能性が読み取れるかと思います。

また、「業界研究・企業研究に力を入れたい時期」について、4月~5月は前年より増え、6月~7月で前年よりも減少、8月以降は前年を上回っています。この結果からも、超早期に動く学生が一定数いるものの、全体の早期化傾向ではないことが伺えます。

◎YouTube「マンスリー採用ウォッチ10月」では、同調査より「SNSの利用状況」「就職活動への不安」などもご紹介していますので、27卒学生の傾向把握として、ぜひ動画もご覧ください。
ここからは、個人的に注目したいデータをいくつかご紹介します。
最近の新卒採用において、採用数よりも質を重視する企業が増えている印象があります。マイナビ2026年卒大学生キャリア意向調査8月<学生の働くイメージと不安>によると、「社会に出て働くイメージが持てている」学生の方が、「働く意欲も高い」という結果が発表されていました。

出典:マイナビ2026年卒 大学生キャリア意向調査8月<入社予定先の決定と不安>
働くイメージが持てた理由やタイミングとしては、就職活動中に社会人と会って話をしながら、仕事のイメージを持てたという学生が多いこともわかりました。一方で、すでに働く意欲の高い学生(質の高い学生)だけを採用するのは、難易度の高いことでもあります。
そのため、企業側としては、採用活動を通じて学生の働く意欲を喚起し、働くイメージを高める機会を提供することも必要になります。つまり、採用活動を通じて学生を育てることで、質の高い採用につなげる取り組みが重要になるのではないでしょうか。
【関連動画】5分でわかる採用ノウハウ!
就活生は5年前とくらべてどう変わったのか?ファクトをもとに増渕が5分で解説
◎YouTube「マンスリー採用ウォッチ10月」では、同調査より「社会人になるにあたって不安に思うこと」「内定式に向けて不安に思うこと」などもご紹介しています。内定者フォローや採用育成におけるヒントにもなるかと思いますので、動画も併せてご覧ください。
「みん就」を運営する、みん就株式会社の調査では、79.9%の就活生が「企業の採用ホスピタリティ」で志望度が変わったという結果が発表されました。
特に、「企業の対応で嬉しかったこと」としては、「受付や社員の方が笑顔で迎えてくれた」、「採用担当者や社員が気さくに話しかけてくれた」が圧倒的に上位でした。面接の対面回帰などが進む中、実際に顔を合わせる社員の印象の重要さがわかります。

一方で、「残念に感じたこと」としては、「会場案内や説明が不十分で迷った」、「受付や社員の態度が冷たかった」が上位に挙がっています。こちらも対面回帰の影響を感じる内容です。
また、3位に挙がっている「選考スケジュールの連絡が遅かった」も、見逃せないポイントです。弊社が実施する辞退者インタビューでも、採用活動全体のプロセスとスケジュールが見えないことが企業への不信感につながったという声は、よく聞きます。「面接が何回なのか」、「いつまでに連絡が来るのか」等に対する学生の敏感性は高くなっていると感じますので、そのような点も志望度にも関わっているのではないかと思います。

◎YouTube「マンスリー採用ウォッチ10月」では、「就活エージェントの収益構造を知らない就活生は64.5%(株式会社Synergy Career)」や「管理職の中途採用・管理職転職に関する調査2025年(マイナビ)」などもご紹介しています。ご興味のある方は、ぜひ動画も併せてご覧ください。
以上、今月のマーケットデータでした。採用活動に少しでもお役立ていただけましたら幸いです。
動画は、以下よりご覧いただけます。来月以降のご視聴もお待ちしております!
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