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【マンスリー採用ウォッチ9月】内定充足率が高い企業と低い企業、採用戦略のどこに差があったのか?入社意欲が高まる内定者フォローとは?

採用ウォッチ9月

ショートセミナー「マンスリー採用ウォッチ」は、採用活動におけるポイントを30分で解説するオンラインセミナーです。毎月公開される最新市場データを、弊社代表取締役YouTuberの増渕が読み解きます。

今月は、内定充足率が高い企業と低い企業、採用戦略のどこに差があったのか?入社意欲が高まる内定者フォローとは?」を中心に、最新データをもとに解説します。

引き続き、できる限りリアルタイムに近い「旬」のデータをお届けし、みなさまからの質問にも「その場で」お答えしておりますので、是非ご視聴ください。本記事では、セミナー内容をまとめています。

●26卒採用の振り返り①:内々定保有率・内々定保有社数は?

マイナビさんの調査によると、26卒学生の7月末の内々定保有率は81.4%(前年比4.1pt減)、活動継続率は31.2%(前年比3.2pt増)、また、内々定1社の割合が増加しているものの、「十分満足している」という理由での就活修了者が63.3%という結果でした。
先月の採用ウォッチでもお話しましたが、26卒学生の傾向として、第一志望の企業1社から内定を獲得し就活を終えるという、タイパ志向が伺える結果になっていました。

出典:2026年卒 大学生キャリア意向調査7月<就職活動・進路決定>(マイナビ)

上の内々定保有率の経年比較データ【図1】をご覧いただくと、3月~4月に明らかに前年よりも内々定保有率が高く、その後は徐々に前年並みとなり、終息していく流れがよくわかるかと思います。
就職活動の継続率についても、前年との増減は多少あるものの、6月以降徐々に活動継続率が下がっていくという傾向に大きな変化はないようです。

出典: 2026年卒 大学生キャリア意向調査7月<就職活動・進路決定>(マイナビ)

内々定保有社数の経年比較【図6】を見ると(調査対象学生の特性も反映されているかとは思いますが)、26年卒学生において、1人で何社も何社も内定を抱えている学生が増えているとは言い難い点は確かです。やはり、選考に進む段階からある程度社数を絞る「厳選就活傾向」は、このグラフからも伺えます。


●26卒採用の振り返り②:就活に影響したニュースワード

次に、同調査の「就職活動に影響したニュースワード」によると、初任給アップ(33.2%)、働き方改革(19.5%)、テレワーク/リモートワーク/在宅勤務(18.4%)、人工知能・AI(17.4%)などが上位でした。こちらも経年比較データで変化を見ていきたいと思います。

出典:2026年卒 大学生キャリア意向調査7月<就職活動・進路決定>(マイナビ)

1位の初任給アップについては、24年卒に急浮上しています。24卒から初任給アップやベースアップに関する動きが始まり、24卒・25卒・26卒と1位が続いています。
2位の働き方改革はこれまでよりも順位が上昇し、テレワーク等については3位ですが、経年比較では順位が下がっていることがわかります。また、地域活性化・地方創生については、26卒から急上昇したニュースワードであることもわかりました。
このようなニュースワードも学生の志向性・傾向を知る材料として、参考にしていただければと思います。

◎YouTube「マンスリー採用ウォッチ9月」では、同調査より「あなたの周りで流行った就活用語は?」「この人が人事担当だったら入社したいランキング」などもご紹介していますので、ご興味のある方は動画もご覧ください。


●内定充足率が高い企業と低い企業、採用戦略のどこに差があったのか?

今月、最も注目しているデータがHR総研さんによる『2026年&2027年新卒採用動向調査(6月)』です。こちらは会員限定レポートのため、公開されている範囲でご紹介したいと思います。
この調査では、26卒・27卒採用で内定充足率が高い企業は採用戦略のどこに力を入れていたのか、企業規模ではどのような違いがあったのかが解説されており、今後の採用戦略を検討する際にも参考になる情報かと思います。


●比較①:採用活動の難易度と内定充足率

まず、企業規模別・2026年卒採用活動の所感(25卒採用と比較して)では、従業員数1,001名以上の大企業では「変わらない」が最多で65%、300名以下の中小企業も「変わらない」が最多で64%でした。一方、301~1,000名の中堅企業では、「やや大変になった」「かなり大変になった」を合わせると68%と7割近くになり、大企業や中小企業と比較しても顕著に高いのが特徴でした。採用人数もそれなりに必要でありながら、大手企業に比べて採用難易度も高くなるため、苦戦した状況が伺える結果ではないでしょうか。

内定充足率についてのグラフを見ても、企業規模に合わせて傾斜がかかっているのがわかります。当然ながら、採用目標数が少ない企業では充足率が上振れる可能性があり、大手企業では採用目標数を大きく上回るケースは少なくなります。充足率に苦戦した割合(グラフ上のグレーの部分)を見ると、従業員数が少ない企業で高くなっていることが読み取れます。

出典:2026年&2027年新卒採用動向調査(6月)結果レポート (HR総研)

●比較②:採用活動で重視した施策(企業規模別)

26卒採用で重視した施策を企業規模別に見ると、大企業(グラフ青)では「自社採用ホームページ」「就職ナビ」「対面型の自社セミナー・説明会」が上位でした。
中堅企業・中小企業(グラフ橙)では「就職ナビ」「自社採用ホームページ」が上位ですが、「内定者フォロー」が大企業よりも15pt高いのが特徴です。内定辞退に悩み、その抑制に注力しているという現状がよくわかります。

出典:2026年&2027年新卒採用動向調査(6月)結果レポート(HR総研)

●比較③:採用活動で重視した施策(内定充足率別)

同様に、26卒採用で重視した施策を内定充足率別に見ると、内定充足率が高い企業群(グラフ青)は「自社採用ホームページ」「対面型のインターンシップ」「内定者フォロー」「オンライン型のインターンシップ」の順で上位に挙がっていますので、参考にしていただければと思います。
逆に、内定充足率に苦戦した企業群(グラフ・グレー)では、「就職ナビ」を重視する企業が最も多い点に特徴が見られます。もちろん、就職ナビに注力しているから苦戦するという解釈ではないですが、内定充足率に苦戦しやすい会社は、就職ナビが頼みの綱であるという状況かと思います。
やはり、内定充足率が高い企業はオウンドメディアでの認知形成や興味喚起を図りやすいという側面があるのではないでしょうか。
自社で力を入れている施策とグラフの傾向を比較・参考にしていただければと思います。

出典:2026年&2027年新卒採用動向調査(6月)結果レポート(HR総研)

●比較④:面接選考の開始時期(企業規模別)

26卒採用の面接選考の開始時期を企業規模別に見ると、大企業と中小企業では、2025年3月前半がピークであるのに対して、301~1,000名規模の中堅企業では、2024年5月以降から開始する割合が高く、早期に開始している傾向が顕著でした。

出典:2026年&2027年新卒採用動向調査(6月)結果レポート(HR総研)

●比較⑤:面接選考の開始時期(内定充足率別)

同様に、26卒採用の面接選考の開始時期を内定充足率別に見ると、内定充足率が高い企業群(グラフ青)では、2025年3月前半がピークでした。内定充足率の高い企業は、意外にも採用活動の後半に面接選考を開始していることがわかりました。
一方で、内定充足率に苦戦した企業群(グラフ・グレー)の面接選考開始時期は、2024年5月以降が最も高いことから、「面接を早くすることが良い」とは言えないようです。

ここ数年、早期接触・早期選考・早期の内定出しが加速していましたが、早期の面接開始と内定充足率アップに相関性がない点は、重要なポイントの一つかと思います。
適切な時期に接触し、インターンシップやフォローでつなぎながら、面接の開始タイミングは早すぎないように調整するのが、今後の勝ちパターンになり得るかもしれない、と読み取れるデータでした。

出典:2026年&2027年新卒採用動向調査(6月)結果レポート(HR総研)

●入社意欲が高まる内定者フォロー

内定者フォローについては、今春入社者(2025卒)に調査したキャリタス就活さんのデータが大変興味深いため、ご紹介します。
まず、入社予定企業から内定期間中に受けたフォロー内容(グラフ青)と、入社意欲(グラフ黄色)に関するグラフをご覧ください。入社意欲が最も高まったフォローは、対面での内定者懇親会(65.3%)、次いで対面での社員を交えた懇親会(59.8%)でした。やはり、対面での交流の重要度が高いことがあらためてわかります。その他、社内や施設などの見学会(オンライン含む)も高く、職場の雰囲気を伝えるのは有効なフォローといえます。

逆に、フォローとして実施されている割合が高いものの、入社意欲の高まりにあまり関係していないものとしては、「人事からの定期連絡」「内定者向けサイト」があります。入社意欲が高まっている学生も一定数いるため有効ではあると思いますが、優先順位の参考になるのではと思います。

出典:調査データで見る「入社に向けた内定者フォロー」(キャリタス就活)

●内定期間中に希望する研修は?

内定期間中の課題や研修について、実際に出された内容(グラフ青)と、希望していた内容(グラフ黄色)に関するグラフをご覧ください。
学生が希望していたものの、実施が少なかったものとして「オンラインでの集合研修」が挙げられています。内定期間中はe ラーニングや自主学習の実施が高まりがちですが、学生のマインドセットやスキルセットを上げる意味でも、内定者時代から集合研修を実施できれば、育成の観点でもかなり有効な手段になるといえそうです。また、入社前から集合研修があること自体が、人材育成の側面で採用競争力で優位になり、採用力の強化にもつながると考えられます。

出典:調査データで見る「入社に向けた内定者フォロー」(キャリタス就活)

同調査の「課題や研修の学習内容」で受けてよかった割合が高いものとしては、資格取得・業界特有の専門知識(79.2%)、自社の商品・サービスの知識(69.2%)が上位でした。このように、入社後に実施するような研修を内定期間中に実施できると、入社前の安心感にもつながりそうです。これから内定者フォローの重要なシーズンに入りますが、10月~3月の入社前育成期間の参考になりましたら幸いです。

◎YouTube「マンスリー採用ウォッチ9月」では、同調査より「入社間近の心境」「内定期間中の不安」「内定後に受けたフォローのペース」などもご紹介しています。内定者フォローに関する学生のニーズ把握として参考になるかと思います。
その他、新卒3年未満で正社員を退職した若年層の意識調査(スタッフサービス)や、GMARCH・関関同立以上の上位校学生の傾向(株式会社RECCOO)、中途採用・転職活動の定点調査(マイナビ)もご紹介しています。
内定者フォローと同様に、入社後の定着率を高めることも採用担当のみなさまにとって重要なテーマかと思いますので、ぜひ動画もご覧ください。

以上、今月のマーケットデータでした。採用活動に少しでもお役立ていただけましたら幸いです。
動画は、以下よりご覧いただけます。来月以降のご視聴もお待ちしております!

採用ウォッチ9月

ジャンプ株式会社
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