STRUCT REPORT
採用コラム

ゆとり世代との向き合い方について

熊野由香

先日、数年前からお付き合いのある大事なお客様から、一通のメールが届きました。

「平田さん、ゆとり世代に対する教育資料ありませんか?」

毎年3名前後の新卒採用を行っているお客様でしたが、今年の4月に8名の新卒入社を控えているということでした。文を読み進めていると、昨今新人(新卒・中途関わらず)の教育に悩んでいるという事でした。

このお客様だけでなく、他のお客様やいたるところで聞く事が増えた気がします。新卒採用は、採用して終わりではなく、厳しい採用環境だからこそ、『定着』『育成』『戦力化』は重要なポイントになってきています。

4月は、新入社員も入社してきて、また新たな仲間を迎える季節ですよね!是非、明日から役に立つような「ゆとり世代との付き合い方」についてお話できればと思います。

ゆとり教育実施の背景

◎無理のない学習環境で子どもたちが自ら学び、考える力を育てる
◎偏差値重視の教育を廃止し、生きる力を育成する
◎総合的な授業など、各学校の教員が考えた個性ある教育を行う

土曜授業もあり、自主学習をする時間が限られていたつめこみ教育に対し、ゆとり教育では自主学習できるような自由時間が増加。その結果、自主学習を行う学生とそうでない学生の間で学力の差が開いてしまったといわれています。他にも「人と比べない」「ナンバーワン<オンリーワン志向」などによって、競争意識が低下し、自主的に学習をする意欲が薄れてしまったという話もあるようです。

デスク

ゆとり世代の特徴

【ゆとり世代の特徴①】今までの労働形式を重んじない

ビジネスマナーや会社の慣習など、理由のない労働形式や文化などに縛られない人が多い。「決められた服装」「決められた勤務時間」「必要のない会議」「出社文化」「朝礼や終礼」「手書き作業」「ハンコ」「誰も見ていない報告書」……。上記のような古くからある労働形式に対して「非合理的だ」「意味がない」と感じると、ゆとり世代はそれらの慣習を疎かにする傾向があります。これは、ゆとり世代でなくとも、会議の短時間化などは私の前職でも非常に重要視されていましたので、ゆとり世代に限ったことでないと考えます。

【ゆとり世代の特徴②】効率よく成果・結果を出したい

学生時代にインターネットが普及していたゆとり世代は、ツールさえ使えばすぐに一瞬で答えを知ることができました。そういった背景から、インターネットのように便利なツールを利用し、楽に、効率的に成果を出そうと考える人が多い。また、すぐに答えを手に入れてきたため、「正解がない」「すぐに成果が出ない」といった仕事を避ける傾向もあるそうです。

【ゆとり世代の特徴③】言われたこと以外やらない

「言われたことはきっちりやるけど、それ以外はやらない」という部下はこれに当てはまるのではないでしょうか。自主学習による学力向上を図ったゆとり教育だったが、自由時間の使い方は人それぞれ。「興味あること」に対しては自主的に動き、勉強などの「興味のないこと」に対しては受動的になってしまったのかもしれません。ゆとり世代のビジネスシーンにおける自主性の低さには、頭を抱える上司も多いのではないでしょうか。

【ゆとり世代の特徴④】プライベート重視

昨今では「ワークライフバランス」という言葉が常識となり、仕事を人生の目的としない生き方が随分と浸透してきました。ゆとり世代がライフ、プライベートを重要視する理由としては、「バブルを経験していないから」「生まれてこの方ずっと不況」などが挙げられることが多いですよね。

しかし、ゆとり世代はバブル時代を全く知らないため、もはや自分の生きてきた時代とバブル時代を比較することもないはずです。ゆとり世代がプライベートを重視するようになったのは、前述の通り余暇時間(自由時間)が多い学生時代を過ごしてきたという背景が関連しているようにも思えます。

【ゆとり世代の特徴⑤】意義を感じない仕事には興味がない

自分が成長しない仕事、自分にとって意味がない仕事には興味がないといわれるゆとり世代。「新卒1年目で希望部署に配属されないから辞職する」「自分が意義を感じない仕事を雑にこなす」といった行動をとることがあるそうです。一見すると意味のない仕事でも後々で役に立つから、今は修行期間だと思って下積みとして努力するという考え方をする人が少ない。

【ゆとり世代の特徴⑥】忍耐力がない

「上司が叱ったら翌日から出社しなくなった」「入社4日目で会社を辞めた」など、新卒入社したゆとり世代の退職について、”ゆとり世代には忍耐力がない”という一言で片付けるケースが多々あります。「ゆとり世代はまともに怒られたことがないから……」という意見も散見しますが、学生生活は十人十色です。所属していた部活動や学校、教師のタイプによっては、怒鳴られた経験・理不尽を受けた経験もある人もいるでしょう。「まともに怒られたことがない=忍耐力がない→すぐに退職する」と断定してしまうのは、少し間違いかもしれません。

【ゆとり世代の特徴⑦】メモをとらない

勤務初日にメモ帳とペンを持参することを“常識”とする人にとって、「頭に記憶しているので」といってメモをとらない新入社員や若者の行動は信じがたいものかもしれません。しかし、「メモをとる」行為にどんな意味があるのかをきちんと指導すれば、しっかりとメモをとるようになるのもゆとり世代の特徴の一つです。また、ゆとり世代が電子機器(スマホ、PC)にメモをとる行為についても、賛否両論があるようです。これは、容認すべきかなと私は思います。スマホに慣れている世代に無理やり昔の手法を押し付けることは、当人のやる気を損ねますし、決して悪いことではなく、むしろデータベース化しやすく良いのではと思います。

【ゆとり世代の特徴⑧】会社の飲み会に参加しない

これは、私も非常に驚きましたが、「今日ゆっくりしたいので」と後輩に断られた時は唖然としました…。月1回など、定期的で行われる会社の飲み会に参加しないという人もいるようです。社内の人間関係よりも、社外の人間関係を重んじるタイプの場合、社内の飲み会を拘束時間として考えるそうです。

【ゆとり世代の特徴⑨】恋愛に淡白

ゆとり世代が恋愛に淡白というイメージを持たれたのは「草食系」という言葉が出回ったからであるとも考えられます。交際経験がないという男女の割合も増加しているというデータによる裏付けも、「ゆとり世代=恋愛に淡白」というイメージを浸透させたのかもしれません。

【ゆとり世代の特徴⑩】ステータス重視しない・上昇志向が低い

高級車や高級腕時計などがステータスとされていたのは過去の話のようです。買い物をする場所といえばファストファッションブランドや無印良品、ユニクロなど、シンプルで身の丈に合った場所を選びがちな世代。「裕福な暮らしをしたいから、なんとしてでも高給取りになる」などという上昇志向がある人も少ないのには、ゆとり教育になり受験戦争が落ち着いたからという背景もあるようです。とはいえ、一般論で語られる高い上昇志向とは「経済的に成功する」という文脈に沿ったものです。ゆとり世代が社会問題の解決など、別ベクトルでの「上昇志向」を持っているというのも事実です。

飲み会

では、どのように「ゆとり世代」と付き合い育成すればいいのか?

ゆとり世代の新入社員・部下との付き合い方

【ゆとり世代の新入社員・部下との付き合い方①】「世代」で括らない

先述したように、世代で一括りにして仕事ができないと決めつけてはいけません。「ゆとり世代だから、〇〇ができない」と世代のせいにするのではなく、まずは新入社員や部下に歩み寄ってみてほしいと思っています。ゆとり世代と向き合い、お互いの意見や考え方を聞く耳を持つことが、上司がやるべきもっとも大切で効果的な対処法です。「君は○○だから、どうせ」と言われたら、いやですよね?私も嫌です!

【ゆとり世代の新入社員・部下との付き合い方②】感情的に怒らない

怒鳴ったり、私怨の入り混じった叱り方をしたりするのは非合理的です。ゆとり世代が何かミスなどをした際には、業務に必要な指摘を端的に伝えるように心がけましょう。

【ゆとり世代の新入社員・部下との付き合い方③】仕事の意義を明確に伝える

ゆとり世代の新入社員や部下は、自分にとって意義を感じない仕事をしているとモチベーションが下がったり、その仕事を避けようとしたりする傾向があるそうです。そのため、新入社員や部下に仕事を任せるときには「仕事の目的、意義」を明確に伝えるのが重要です。「会社にとっての意義」を伝えるのか、「社会にとっての意義」を伝えるのかは、社員の性格に合わせて考えてみてください。

【ゆとり世代の新入社員・部下との付き合い方④】失敗することの大切さを教える

なんでも卒なくこなしてきた真面目な新入社員・部下は、”失敗”をあまり経験していないことが多い。そんな新入社員・部下には早い段階で「失敗することは恥ではない。大切なこと」というのを伝えて、理解してもらうことが大切です。

【ゆとり世代の新入社員・部下との付き合い方⑤】精神論や自分の意見を押し付けない

ここが一番大事で、一番難しいところではないかと個人的には思います。ゆとり世代は良くも悪くも合理的な考え方をする人が多いとされています。そのため、精神論や筋の通っていない非論理的な意見には、納得いかないという人も多い。

つい、「私達の若いころは…」など、自身の経験から物を語ったり説教したりしがちですがおそらく逆効果です。多少我慢が必要かもしれませんが、相手も人です!精神論や自分の意見を押し付けずに相手のアイディアを求めるなどして、相互コミュニケーションを図ってほしいと思います。

長くなりましたが、上記内容をゆとり世代の特徴や付き合い方の参考の一つにしていただき、明日からの新人社員やゆとり世代の方と向き合い、相互にポジティブなコミュニケーションを取っていただきたいと思います。

熊野由香
クライアントパートナー

採用環境が悪化する中、「人事の方のベストパートナーになりたい」と新卒以来一貫してアルバイト・中途・新卒採用の支援に携わる。従来の採用手法に留まることなく、「自社の採用力」強化のサポートをすべく、Webマーケティングや動画の活用、SNSを絡めたダイレクトリクルーティングなど新たな手法で採用を支援。

雇用の確保や企業の採用力の強化を行うことで、人材不足における日本の成長の停滞などの社会課題を解決し、「Only 1 Recruting」の確立と日本全国へ浸透させたいと本気で思っています。趣味は好きな仲間と、夢を語りながら杯を交わすことです。


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