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採用コラム

中途採用の「うちっぽくない人材」採用のキーはエージェント!?

増渕知行

前回は新卒における「うちっぽくない人材」採用の実戦についてお話しいたしました。
新卒採用におけるキーワードは2つ、「インターンシップ」と「リファラル」
この2つの手法を使って学生と出会い、何度も会いながら熱意を持って学生を口説くこと、そして入社後のお互い未来を共に想像することが重要とお伝えしました。
もちろん中途採用でも熱意は大切ですが、もう少し中途採用ならではの「技」を使っていきましょう。

1. 中途採用における「うちっぽくない人材」に期待することは?

新卒採用と違い、中途採用では候補者が前職で何かしらの経験と実績を積んでいます。
新卒におけるうちっぽくない人材採用での「とにかく会社に風穴を開けて欲しい!」という期待に対して、中途採用においては特定分野での専門性(スキル・経験など)をもって「具体的に○○において力を発揮して、会社に風穴を開けて欲しい!」という期待をかけることになるでしょう。

「うちっぽくない」だけではなく、何らかの実績を積んでいる・専門性を持っている候補者に対してどのようなことを期待するのか、採用を始める前に、その「具体的に○○において力を発揮して」という「〇〇」の部分を明確にする必要があります。

中途のうちっぽくない人材に期待することは「スペシャリスト」です。
新卒採用と違って中途採用の難易度が上がる理由がこの「専門性」
スキルを持っている候補者を、そのスキルを持っていない会社が採用するということは、その人材をコントロールしきれない可能性があることも、採用担当者も、経営陣も配属先も理解しておく必要があります。

しかし「コントロールしきれない」というと「そんな面倒な人材は採りたくないなぁ」、「上手くマネジメントできない人材を活躍させられるの?」と不安に感じる方もいるかもしれません。

2. 中途採用の「うちっぽくない人材」に活躍してもらうのは?

先ほどお伝えしたように、専門性をもって風穴を開けてもらうため、会社としても意思を持ってその人材に仕事を任せていかなくてはいけません。

そうでなければ、せっかく採用成功しても、既存のルールやマネジメントでそのうちっぽくない人材を縛ってしまうと、結局今までも社内にいたような「うちっぽい人材」として社風に染まってしまうか、「やりたいことに挑戦できなかった」と早期退職してしまうからです。

特に中途採用では、人材本人が自信を持てる経験や実績を積んでいるからこそ、信用し任され、主体的に動けるからこそ、会社の期待に応えるために努力をしてくれることでしょう。

自分の力を認め信じてくれるからこそ感じる「必要とされている感」や自分がこの会社を変化させなきゃいけないという「使命感」をもってもらうことが中途採用における「うちっぽくない人材」の活躍へと繋がっているのです。

改めてここでしっかりと心に留めておいていただきたいのは、「うちっぽくない人材」は今までにいなかった人材だからこそ、マネジメントが難しく、だからこそ会社の空気を一新してくれるような起爆剤になる可能性があり、そのためには、採用担当だけでなく、経営陣も配属先もその人材を信じて長い目で見守る必要があるのです。

どれだけ「任せられるか」その環境を作ることが重要。では具体的にどのような方法で「うちっぽくない中途人材」と出会えればよいのでしょうか。

3. 中途採用のキーワードは「エージェントとの協働」!

ステップ1:相性の良いエージェントを見つけよう!
ステップ2:エージェントを味方につけよう!

中途採用における人材との出会い方で多いのは、以下の3つの方法です。
・ 人材エージェントからの紹介
・ ダイレクトリクルーティング
・ リファラル(前回記事参照:新卒採用で「うちっぽくない人材」を採用するには?

ダイレクトリクルーティングが上手くいくには、採用に慣れていること・費用や時間といった手間をかけられることの2点が重要になります。
ダイレクトリクルーティングの場合は、自分たちでマッチする候補者を探さなくてはいけないため、この2点が揃っていない場合は、中途半端な採用活動になってしまうケースが多いと言えるでしょう。
もちろん、社内の採用担当者が行う必要はなく、業務委託などでアウトソースでも採用成功可能です。

リファラル採用については、前回の記事を参考にしていただき、この記事では「自分たちの力でうちっぽくない採用を成功する」ということが前提のため、「人材エージェントからの紹介」についてお伝えして行きます。

エージェントの力を借りることのメリットは、イニシャルコストをかけずに候補者に会うことができる点です。
エージェントも数多く存在するため、依頼自体は非常に簡単ですが、実はエージェントを利用しても肝心の「欲しい人材」に出会うことは容易ではありません
だからこそ、エージェントを上手く活用するためにも準備が必要です。

ステップ1:相性の良いエージェントを見つけよう!

相性の良いエージェントとはつまり「より良い人材を紹介してくれるか」に尽きます。

そして重要なのはエージェントに「条件マッチング」ではなく「共感マッチング」で紹介してもらうこと。

条件マッチングとは、給与をはじめ、待遇・仕事内容・経験が活かせるかが前提にあるマッチングのことで、逆に共感マッチングとは、社長や会社の理念に共感して応募してきてくれること

条件マッチングで紹介された場合、他により良い条件の会社が現れた時に負けてしまう可能性があり、給与メインの条件競争の採用になってしまう恐れがあります。

特に今回は「うちっぽくない人材」の採用が目的だからこそ、経営陣や会社のビジョンへの共感は必要不可欠!

つまり、ここでいう「相性の良いエージェント」とは会社に変革をもたらせるために「うちっぽくない人材」の採用が必要ということを深く理解し、共感してくれているエージェントです。
確かに大手エージェントの方が候補者はたくさん紹介してくれるかもしれませんが、重要なのは数多くの人材を紹介されることではなく、「きちんとマッチした人材(=良い人材)を紹介される」ことです。

そして次に重要なのが、エージェントといかに協働するか。

ステップ2:エージェントを味方につけよう!

エージェントを味方につけるためには、どのような人材を求めているかをきちんと共有することが大切です。
特に「共感マッチング」の場合、言語化しやすい条件マッチングと違い、どういう人材が良いのか伝えることは容易ではありません。

そこで、以下の2つを必ず行うようにしましょう。
・ 最初に紹介された3名は必ず会う
・ NG理由を細かくエージェントに伝える

うちっぽくない人材の言語化が難しいからこそ、採用担当・エージェント、そしてオーダー元である経営陣3者の目線合わせを行うことが重要

もちろん書類の段階で必要な経験・スキルが全く該当しない場合は会う必要はありませんが、まずは会ってみないことには自分たちの採用基準は見えてきません。

時間がかかる前提でこの「目線合わせ」をきちんと行うことで、本当に必要な人材の「ストライクゾーン」が分かるようになり、社内では求めている人材の言語化につながり、エージェント側もより近い人材を紹介しやすくなります。

上記と同じ理由で、不合格候補者の不合格の理由を言語化し、エージェントに漏れなく伝えましょう
「なんとなく違った」の中にこそ大切な理由が隠れていて、ここを言語化することで、NG理由が明確になればなるほど、マッチする人材の紹介へとつながっているのです。

こうやって丁寧に目線合わせを行うことで、エージェントとの協働が密になり、より良い人材の紹介へと繋がります。
中途採用の成功の鍵はエージェントとの「協議」にあります。

4.【まとめ】重要なのは「エージェントとの協働」×「目線合わせ」

新卒採用のように定期説明会・インターンシップなどを行わない中途採用では、エージェントを味方につけることが極めて重要になってきます。
エージェントを単に外注業者と考えずに、社外採用担当と考え、密に擦り合わせを行っていくことで、より良い人材の紹介に繋がることでしょう。

誰も正解が分からない中で進んでいく「うちっぽくない人材」採用において、中途でも新卒でも細かい目線合わせを行うことは、うちっぽくない人材の言語化につながる極めて大切な行動になります。

時間がかかるからこそ大切な求める人材の「言語化」
ベストは「○○において力を発揮する中途人材の採用」ですが、もし中途採用でその人材に巡り会えなかったときは、業務委託で見つけるという方法もあります。
自社の状況とエージェントからの紹介を冷静に比較して検討してみるのも良いでしょう。

ここまでエージェントを使った採用方法についてお伝えしましたが、最後にエージェントを使わない方が良いケースもお伝えします。

まず1つ目は採用に十分な予算をかけられない場合です。エージェントの紹介フィーは35%前後ですが、人材不足が続いている現状、この紹介フィーを値切ることは難しく、また値切った故にエージェントが候補者を優先的に紹介しない・クロージングを優先しないといったことも考えられます。

次に、エージェントマーケットで著しく競争力が無い場合です。この競争力とは知名度という話ではなく、給与を筆頭に提示できる勤務条件の優位度があまりにも低い場合についてです。
エージェントを利用した就職活動の場合、候補者が複数社同時に並行して面接を受けているケースが多く、他社に比較してこの条件があまりにも低い場合は、いくら他の魅力(経営理念・ビジョンなど)で勝負を挑んでも、負けてしまうことが多くあります。

最後は、エージェントを使わないでも十分に候補者からの応募がある場合です。採用について社外からのアドバイスが欲しいなどと言う理由がない限りは、まずは応募して来た候補者と会って見てください。
その上で自分たちの採用条件を改めて見直してからエージェントに相談するのでも遅く無いでしょう。

ここまで出会い方についてお伝えして来ました。次回は、いよいよ最終回!
「うちっぽくない人材」を口説き・心をつかむ方法についてお伝えします。

【関連記事】
第1回:「うちっぽい採用」ってなに?
第2回:採用するべきは「うちっぽい人」?「うちっぽくない人」?
第3回:新卒採用で「うちっぽくない人材」を採用するには?
第5回:「うちっぽくない人材」採用の内定から活躍に向けて

増渕知行
代表取締役 クライアントパートナー

理想を追求し続けたら、起業に行きつきました。ジャンプは自分の人生そのものです。ジャンプはクライアントにとって、頼れる同志であり続けたい。社員にとって、燃える場所であり続けたい。約束は守る男です。週末は野球がライフワーク。


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