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探究活動は、就職活動を変えていけるのか。

働き方・生き方

190430

現在、日本の教育業界では「探究」が注目されています。2022年度から新しく導入される高等学校学習指導要領の中では、「探究」という名がつく科目が一気に新設されます。「古典探究」や「日本史探究」といった選択科目が新設される他、「総合的な学習の時間」が「総合的な探究の時間」となるのです。背景には国際社会共通の目標とされている「持続可能な開発目標(SDGs)」があります。このSDGs達成のための教育として柱になると期待されているのが、探究活動なのです。

探究活動によって何が変わるのか?

文部科学省によれば、探究は問題解決的な活動が発展的に繰り返されていく一連の学習活動と定義されています。

無題1

学生自身が日常生活や社会に目を向け、自ら課題を設定し、それに必要な情報を収集し、整理・分析し、アウトプットを生み出す一連の活動を繰り返す。これによって、自分自身の考えや課題を解決し、更新していく力を身につけていくこと、また将来、仕事の現場で直面する課題に解決策を見出し行動し、また新しい課題に取り組む。そんな姿が生まれることが期待されているようです。この教育業界の動向は企業側の要請でもあるのです。なぜいま企業で働く人材にこのような力が求められるのでしょうか?
ひとつの調査にこのようなものがあります。

無題2OECD Chart: Hours worked, Total, Hours/worker, Annual, 2014 – 2018
https://data.oecd.org/chart/5zBq

日本人はよく働く、働きすぎだ、ということがよく言われますが、実はすでに日本人は少なともOECD加盟国の中ではすでに平均を下回っています。上の図では黄色が日本、黒がOECDの平均値です。
そして労働生産性です。下図は「主要先進7カ国の就業者1人当たり労働生産性の順位の変遷」です。

無題3出典)労働生産性の国際比較 2018 – 公益財団法人日本生産性本部

日本は1970年以降ずっと15位を下回っており、1997年以降は20位より上位にあがったことがありません。働き方改革が進み、労働時間は減少するのに、労働生産性はあがらない。しかも労働人口も不足しつつある。この課題に向き合うことのできる人材を育成したい。これが「探究」に求められている最大のねらいなのでしょう。

日本の人材教育の課題は、「何かに問題意識をもつこと」「何が大事か本質かを明確にすること」ができないことです。日本人が美徳としてきた「真面目」「謙虚」「遠慮・配慮」という価値観が裏目に出た結果です。この価値観そのものは素晴らしいものです。ただそれに胡座をかくのではなく、新しい価値創造をしなければならない。その一歩が「探究」というわけです。探究というスキルを、ベーシックスキルとして持つことで課題解決力を高め、自己決定力を高めていく。課題解決判断、自己決定の繰り返しの中で、正確性と瞬発力を兼ね備えることができれば、労働生産性は高まり、GDPを押し上げていくことになるのではないでしょうか。

無題4

探究教育の未来は、就職を変えるポテンシャルを秘めている。

探究スキルの獲得が進めば、小学生であれ、中学生であれ、その探究活動による成果が生まれます。その成果は、企業が求める人材の指標となりえます。地域活性に探究熱心な小学生がいて、その探求成果が新しい未来への可能性を秘めていたとしたら、それは地域活性を生業とする企業には喉から手が出るほどほしい人材に違いありません。これまでの画一的な偏差値教育が生んだ知識と技能一辺倒の人材から思考力・判断力を兼ね備えた人材への変化。それに加えて、興味や探究テーマに沿った進路決定がなされるようになれば、もうそこには現在の就職活動の形はなくなっていることでしょう。教育の変化が就職の変化を導くことができるのか、これはまだ少し先の話ですが、期待せずにはいられません。

yasui

安井省人

取締役 クリエイティブディレクター

組織活性につながるクリエイティブとは何か?問題の本質は何か?を追求する毎日。近道でも回り道でもゴールに繋がるプロセスを大切に、現実にも夢にも向き合いたいと思っています。二地域居住の週末田舎暮らしやってます。

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