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人を育てる、イチローの言葉。

人材育成

あらゆるノウハウがネット上に転がっている時代です。「名刺の正しい渡し方は?」「敬語の正しい使い方」から、「営業をうまくなる方法」「良い企画書の書き方」まで。もう上司なんていらないんじゃないの?理想の上司はGoogle先生です。そんな声が聞こえてきそうです。

では、どんなアドバイスができる上司や先輩なら、これからの時代でもマネージャーとして価値を発揮できるのだろう。そのひとつの答えが、イチローにあるような気がします。

「どうすれば、四球を増やせるのか?」

マーリンズ、マリナーズでの同僚のディー・ゴードン。2015年の首位打者であり、過去3回の盗塁王でもある、イチローと似た俊足巧打の内野手です。15歳年上のイチローを兄のように師匠のように慕っていました。

彼が打撃不振に陥っていた時期、コーチから「もっと四球を増やしてみたらどうか?」という話がありました。イチローに「どうやったら四球を増やすことができる?」と相談。イチローはこう答えました。

「強く打て」

四球を選ぶことより、まず打つことを考えろ。ピッチャーから恐れられるバッターになれば、自然と四球は増えていくはずだ。そんな逆転の発想をアドバイスしたのです。もともと初球からどんどん振っていく積極的なバッティングが売りのゴードンには、そういう考え方のほうがマッチしているとも考えたのでしょうか。意表をつきつつ、でも本質的で、その人に合ったアドバイス。すごく好きです。

「野球がうまくなる練習法は?」

こんなエピソードもあります。ひとりの少年が聞きました。「野球がうまくなるには、どんな練習をしたらいいですか?」イチローの口から出たのは、またも意外な回答でした。

「小学校の宿題をきちんとやること」

勉強、それは子どもにとって一番イヤなこと。でも、「イヤなことでもサボらずにきちんとやりつづける」ということを、イチローは宿題をやることで身につけたそうです。それは毎日、同じルーチンをこなしつづけることで、メジャーリーグで3000本ものヒットを積み上げてきたイチローの根底を築いた経験だったのではないでしょうか。

「人生を変えるには、まず習慣を変えること」という言葉があります。小手先のテクニック論に逃げない。習慣を変えることで、野球に取り組む姿勢を変え、上達させていく。その人を根っこから変える言葉を、イチローは送りたかったのだと思います。

AIでは導き出せない言葉を持っているかどうか。

今日明日、役立つノウハウなら、いくらでもインターネットから拾える時代。でも、イチローのようなアドバイスはきっと検索やAIでは導き出せない。一見、突拍子のない、ロジックのつながりのないアドバイスだから。

明日すぐ役に立たないけれど、長い目で見れば、その人を育てる土壌になるアドバイス。ペラいロジックではなく、分厚い経験からドリップされた生の言葉。そんなアドバイスや言葉を自分自身に送ることができる、自分になっているかどうか。そこに、10年後も生き残っていく人の分岐点があるような気がします。

uchida

内田直樹

コピーライター/ディレクター

じっくりとヒアリングを繰り返し、課題発見、企画提案から取り組む「対話型モノづくり」を信条としています。クリエイターである前に、信頼できる相談相手でありたい。最近始めた野球では、長打が打てるようになりたいとバッティングセンターに通う日々です。

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