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マネージャーがコントロールすべき、たった一つのこと。

人材育成

●イケてないマネージャー、増渕知行

自分で言うのもなんですが、マネージャーになった当初の私はかなり痛い人でした。メンバーを育てられない。ややもすると苦痛で辞めてしまう。チームの業績は良かったり悪かったりだけど、良いときの業績は結局プレイングマネージャーである自分があげている。育成・マネジメントをミッションととらえた場合、かなりのローパフォーマーでした。

そもそもなぜ自分がマネージャーに登用してもらえたかと言えば、プレーヤーとして成果を上げていたからです。営業部門でしたので、要は業績と顧客の評価が高かった。登用されたときは、もちろん自分も燃えていました。マネージャーとしても高い成果を出してやる。自分のメンバーは、全員伸ばしてみせる。社内の他のどのチームよりも、イケてるチームをつくってみせる!

プレイングマネージャーですから、自分で顧客開拓しながら個人目標を追い、ロールモデルとなる。同時にメンバーの案件に同行しながら、個別に指導・育成していく。チームとしてのビジョンをかかげ、定期的にミーティングを進めながら一体感を醸成する。朝はだれよりも早く会社に出て、夜はだれよりも遅く帰る日々が続きました。でも、マネージャーとしての成果は出なかった。そんな期間が2年くらい続いた記憶があります。

●大きな気づきを得られた、ある本との出会い

20代後半のころでした。記憶もややあいまいですが、「このままじゃいやだ」という自分と「別にいいんじゃないか。これが自分のスタイルでは?」という自分の両方がいたような気がします。そして幸いにも、前者の「自己変革欲求」のほうが高かった。だからいろいろ考えました。自分の何がいけないんだろう?隣を見れば、自分よりもプレイヤーとしては成果が低かった同期が上手に人を育て、動かしている。自分と彼は、いったい何がちがうんだろう?そんなとき出会ったのが、この本でした。

なぜ、「できる人」は「できる人」を育てられないのか?
無題
この本を読んだとき、グサグサ胸に刺さると同時にパーっと霧が晴れるような感覚があったことを覚えています。なぜこれまでの自分は、人を育てることができなかったのか。自分の何を変革すれば、もう少し育てる力やチームを動かす力が高くなるのか。本から学んだことをベースに自分なりにトライアンドエラーし、これがマネジメントの要諦ではないか?というキーワードを見つけることができました。それが、「期待をコントロールする」ということです。

●なぜ「期待」は危険なのか?

私のマネジメントにおけるガンは、「期待」だったのです。期待というとポジティブな言葉ですが、実はこれほどやっかいなものもありません。コントロールの仕方次第で、武器にもなれば凶器にもなるものです。

たとえばAくんというメンバーがいたとします。私は彼に対してこんな期待をします。「営業として、1年後にはこのくらいのレベルになってほしい」、「彼のポテンシャルなら、ここではいけるはずだ」、「早くリーダーになって、同期や後輩のロールモデルとなってほしい」など。そう、ポジティブな期待ばかりです。こういった期待を、メンバー全員に対してしていくわけです。そこには悪気のかけらも無い。努力すれば、できないことは無いと信じている。自分がまさにそうだった。自分だってできたんだから、Aくんだってできるはずだ!

結果、Aくんに対して「あるべき姿」が出来上がります。しかしその姿は、自分が勝手に作ったものです。そこから生まれる現実は、「ギャップ」です。Aくんのあるべき姿と、現状のギャップ。そしてギャップは違和感となり、Aくんに対する指導や叱咤激励の「言葉」に影響してきます。「お前はこんなもんじゃないだろう。がんばればもっとできるやつだと、おれは信じてる!」なんて感じでしょうか。一見悪くない言葉に感じる。でもこの言葉に至るプロセスは、マネージャーの独りよがりにしかすぎません。だって、「あるべき姿」はマネージャーの「勝手な期待」が生んだものなんですから。

●期待をコントロールし、過去との比較に注目する

いきついた結論、それは、「他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる」ということでした。そして、「変えられることに集中すべき」という不変の原理原則でした。マネージャーが変えられるのは、「期待」です。コントロールできるのは、「期待」です。これに気づいて以降、私は極論で言えば「メンバーに期待しない」ようにしました。すると、許容できることが増えました。1年くらい変化が見られなくても、平気になりました。「指示や指導」をしていたことが、「示唆」に変わりました。

加えて、「過去との比較」に注目するようにしました。Aくんであれば、自分の期待やBくんとの比較で評価しない。あくまで「過去のAくん」と比較をし、何かしら良くなったことがあればそれに気づき承認してあげる。ヒトではなくコトをみて、よくなったコトがあればそれをフィードバックする。そのためには、「観察」と「記憶」が重要です。結果私がメンバーにかける「言葉の総量」は減り、「変化の観察量」は増えていきました。

マネージャーにもいろんなタイプがいるでしょう。メンバーに対する期待を高めたほうがよいタイプもいれば、自分のように「期待しない」くらいのほうがよいタイプもいる。ただ、プレーヤーとして成果を上げて登用されたマネージャーは、私のようなタイプが多いと感じます。もしマネージャーとしての自分にふがいなさを感じ、何かの糸口を探している方がいれば、ぜひ「期待をコントロールする」という視点を意識してみてください。

ちなみにこの文脈を、「マネージャー=親としての自分」、「メンバー=自分の子ども」と置き換えてもなかなか面白いです。これがまた、なおさら難しいわけですが(笑)

masubuchi

増渕知行

代表取締役 クライアントパートナー

理想を追求し続けたら、起業に行きつきました。ジャンプは自分の人生そのものです。ジャンプはクライアントにとって、頼れる同志であり続けたい。社員にとって、燃える場所であり続けたい。約束は守る男です。週末は野球がライフワーク。