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ビールの売り子に見る、トップセールスマンの極意

いろいろ

7月分_辻さん3
夏がやってきました。弊社のオフィスは神宮球場の近くにあるのですが、試合の日ともなれば通りは球場に向かう人で大いに賑わいます。仕事帰りに一杯やりながら野球観戦なんて最高だなぁなんて思っていたら、以前テレビでこんなことをやっていたのを思い出しました。球場で目にするビールの売り子さん、ほぼ全員が若い女性なのですが、売れる人と売れない人では大きな差があるというのです。ビジネスでも大いに参考になる内容ですので、今回はこのお話をご紹介しましょう。

◎事前準備

まずは試合前、ここですでに差がついています。売り子さんはみんな野球のユニフォームをモチーフにしたコスチュームを着ていますが、ビール会社ごとの違いはあれど統一デザインのものを着ますので、見た目の差はなかなかつきません。しかし、売れる子は例えば帽子にピンバッジをつけていたりします。それも優勝記念バッジのようなレアなもの。わかりますか?熱心なファンなら「あ!」とすぐに気づいてくれて、「この子は同志だ」と親近感を持ってもらえるのです。そうして心理的な距離を縮めていくことで自分の常連客を増やしていくのです。

◎顧客管理

そして観客席にお客さんが入ってくる頃、売れない子が大きな声でビールを売り歩く中、売れる子は試合開始前の時間を、常連客が座っている場所を確認することに当てます。お客さんだって以前会った売り子さんが自分のことを覚えていてくれたらうれしいですし、それも大勢の観客の中から自分を見つけてくれたとなればなおさらですよね。そしてビールを注ぎながら、次はいつ来るのか、どの辺の席に座るのかなど会話の中から聞き出します。

◎新規開拓 その1

試合開始。売れない子は試合前と同じことをやっています。売れる子は、常連客の場所を把握し終わり、いよいよ新規のお客さんを開拓しに行きます。例えば団体客は狙い目なのだそうです。わかりますか?誰か一人が買ってくれたら、「おれも、おれも」と芋づる式にまとまった数が出やすいのです。それもタイミングが重要で、席が決まるまでは落ち着かないためいくら声をかけても買ってもらえません。ようやく落ち着いて、「さてそろそろビールでも」と思ったらたまたま目が合ったね、という状況を想定して狙っているのです。

◎新規開拓 その2

試合中盤。ビールの泡があふれないよう慎重に注ぐのは売れない売り子さん。売れる子はビールを注いでいるとき、時折カップを見つつも周囲さーっと見渡し、次のお客さんと目が合うのを見逃しません。手を振るお客さんに向かって、「はーい、行きますね」と声には出さずとびきりの笑顔で伝えます。しかもそうすることで、仮に自分が行く前に別の売り子が通りかかっても、その客は自分が行くまで待ってくれることまでわかった上でやっているのです。

◎新規開拓 その3

どうですか?まだ試合中盤ですが、すでに大きな差がついている感じしますよね。さらにいきましょう。球場に行ったことがある方はおわかりだと思いますが、観客席はかなり傾斜のきつい階段になっています。一方、ビールのタンクは15キロ。これを背負って急な階段の上り下りを繰り返すのは体力的にもきついため、上段の観客席にはなかなか売り子さんは行かないのだそうです。そう、ライバルはいない、お客はいる。意を決して行きさえすれば、また芋づる式に売上げを伸ばせるわけです。

◎顧客フォロー

試合はクライマックスへ!逆転ホームランで客席大盛り上がり!売れない子はチャンスとばかりに声をかけますがかき消されてしまいます。一方、売れる売り子は観客と一緒に盛り上がってハイタッチ。わかりますか?試合も終盤になればビールの売り行きは落ちていきます。今日の数字のために無理をするよりも、ファンの一員として応援し絆を深めることで常連客を増やす、つまり明日の数字をつくっているのです。

結果として、売れる子と売れない子ではざっと2倍の売上げの差がつきました。重たいタンクを背負って急な階段を上り下りする、若者ならではの体力勝負の世界と思いきや、あに図らんや。お客さんの心を読み、ライバルがやらないことをやり、自分を売ってファンをつくるという緻密な頭脳戦の世界だったのです。

tsuji

辻隆斗

取締役 クライアントパートナー

前職は人事を担当。会社全体の仕組みから社員一人ひとりのケアまで、幅広い視点から会社や組織の活性化に貢献します。既存の概念にとらわれることなく、常に柔軟に考えることを心がけています。趣味は料理。食べるのも作るのも大好き!

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